ファミコンが出る前….の昔の話です。
ちょっと若い人には想像できないかもしれませんが。
正月に親戚が集まった時に、子供が一緒に遊ぶゲームの定番は「すごろく」でした。(あるいはすごろくに近い、人生ゲームのようなもの)
すごろくのゲーム性というと、シンプルに「完全な偶然性」です。
もしかすると、攻略性も何もない「すごろく」は「ゲーム」ではない、と思う人もいるかもしれませんね。
しかしながら、「完全に偶然」(さいころの出た目だけの勝負 ) である事は、正月に親戚が集まるというシーンにおいては非常に有用なのです。
正月に集まる親戚の子供の年齢・性別はバラバラです。
もし、上手い人が勝つ、頭が良い人が勝つ、というルールのゲームならば、小さい子は勝てない事になってしまいます。
で、そういう小さい子ほど負けた時に泣いて騒いだりするのです。
集まっている親は、正月くらいは子供の世話から離れて、お酒を飲んで親戚の人と楽しく話したりしたいわけです。上手いところ、子供達には一緒に遊んで欲しいと。
「すごろく」は、完全に偶然性のみが左右するゲーム性ですから、小さい子供にも勝てる可能性があるわけです。
お兄ちゃん、お姉ちゃんが補佐すれば、とても小さい子でも参加できるし、誰でも勝つ可能性があるのです。
もちろんルールはシンプルそのもの(サイコロを振った目の数だけ進み、ゴールを目指す)です。
そういう意味で、正月の親戚が集まった時の子供達が共通に遊べるゲームとして、親達にとっては、子供達に遊ばせておいて自分達はお酒をゆっくり飲むためのツールとして「すごろく」は定番商品でした。
ゲームデザイナーという職業になっている人にはゲーム好きな人が多くて、やたらとゲーム性とか、複雑なルールとかそういう所ばかりに目をやる人が多いのですが、生活上のツール、という意味でいうと実はそういったゲーム性は必要ない、あるいは邪魔になる場合もあるのです。
お客様が遊ぶシーンを想像して、そして周りにいる人も想像して、皆が喜ぶにはどうしたらよいかを考えてみてはどうでしょうか。
案外、自分達が「ゲーム」とは呼ばないモノがニーズに応えるのかもしれませんね。
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