取扱説明書は読まない、のを前提にする

On 2010年12月1日, in ブログ, by nakamura
バリューセレクション ことばのパズル もじぴったんアドバンス

この記事の所要時間: 約 2分56秒 Tweet 結構昔のエピソードですが、共有したいので書きますね。 GBA版のもじぴったんが発売された数ヶ月後に、たまたま、社内の女性数名と食事をする機会がありました。 バリューセレク […]

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この記事の所要時間: 256

結構昔のエピソードですが、共有したいので書きますね。


GBA版のもじぴったんが発売された数ヶ月後に、たまたま、社内の女性数名と食事をする機会がありました。

バリューセレクション ことばのパズル もじぴったんアドバンス
ナムコ (2006-02-02)
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話題が(僕がいたこともあって)もじぴったんの話題になりました。

その場にいた女性全員がGBA版のもじぴったんを持っていて、早速こうして欲しい、ここが不満、みたいな話になるわけです(まぁ、僕が開発者で特に当時はディレクター&プロデューサーでしたからありがちですね)。

全員一番不満を持っていたのが「沢山ある文字の下のほうを選ぶのが時間がかかる、面倒」という事でした。

正直僕は「あれ?」と思ったのです。

GBAの場合、L,Rボタンを押すといわゆる文字の「早送り(ページ送り)」が出来るようにしていました。

取扱説明書にももちろんその事は書いてあります。

だけど、その場にいた全員はその仕様を知りませんでした

で、僕が教えて「こうするんですよ」と言ったら、全員驚いていました。

みんな、発売から時間がたって結構もじぴったんをやりこんだ後だったのにも関わらず

他にも皆が口を揃えてクリアできない、といっていたタイム制限のきついステージは、実はその早送りを活用しないとクリアが難しいステージでした。

そのメンバーに聞いてみたら、全員、取扱説明書は一度も読んでいなかった事がわかりました


その時は3人でしたので、後日、もじぴったんをやっている人を社内や社外で見つけたら、説明書を読んだか、という話を聞くようにしました。

結果、殆どの人が一度も読んでいませんでした。そして同様に製品では既に解決してあるはずの問題に皆不満を持っていました。

後に、PSP版では、チュートリアルプレイにその早送り操作が分かる仕様を別途入れました。


お客様は「購入したらすぐにでも遊びたい」という気持ちを持っており、多くの人は説明書を読まずにゲームを始める事が分かりました。

他のゲームでも読まない、という人が大半でした。多かったのは分からなくなったら、読む、というパターン。

特にもじぴったんのようなシンプルなゲームは、見なくても分かる、と思いこまれてしまう事が後に分かりました。

よって、不満に感じるであろう事を製品では実装して解決していて、説明書に書いてあるにも関わらず、お客様は分からないまま不満を残してしまう事があるのです。

作る側から言うと、手間的問題、コスト的問題、色々あって何かの問題がある事を解決する仕様や操作を「取扱説明書に書いてあるから大丈夫」としがちなのですが、それでは効果がないばかりか、せっかく知っていれば不満を感じない事を「できが悪い」とお客様は思い込んでしまいます。

お客様は説明書は読まない、という前提のモノ作りが僕は(実はゲームに限らず)必要だと思っています。

(ちなみに、単純にオンラインマニュアルにしても、見ないのは変わらないですよ。むしろ読みにくいので、見ない可能性があがるかもしれません(仮説))

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ゲームでなく「お客様の生活」を研究する

On 2010年11月29日, in ブログ, by nakamura

この記事の所要時間: 約 1分39秒 Tweet ゲーム開発者は、無意識に「お客様」=「プレイヤー」=「ユーザー」=「購入者」と考えがちです。 以前のエントリーでも言った通り、そうなるケースもありますが、基本的にはそれら […]

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この記事の所要時間: 139

ゲーム開発者は、無意識に「お客様」=「プレイヤー」=「ユーザー」=「購入者」と考えがちです。

以前のエントリーでも言った通り、そうなるケースもありますが、基本的にはそれらは違うものです。

過去エントリー:追求すべきは誰の満足?プレイヤー、ユーザー、それとも?


そしてもう一つ、ゲームの開発者は「ゲーム」を研究する事で満足しがちです。

確かに、他社が作ったゲーム、売れているゲーム、そういうモノを研究する事は大事かもしれません。

それらの良い所をうまく盗むという事で、商品を改良していく事は出来るでしょう。

しかし、僕はそれ以上にお客様、あえて言えば「お客様の生活」を研究する必要があると考えます。

  • ゲームを遊ぶのはどんな時なのか、遊ばないのはどんな時なのか。
  • どんな姿勢で遊んでいるのか。( 寝転がって?ソファに座って?立って?両手で?片手で?歩きながら? )
  • どんな場所で遊んでいるのか。(自分の部屋?リビングで?電車の中で?待合室で? )
  • ゲームが嫌い、と思っている人はどんな生活をしていて、どんな理由で嫌いなのか。
  • ゲームの話題をするのはどんな時か。どんな話題か。
  • 生活する上で、困っている事はないか。それをゲームで解決できないか。

残念ながら、今の世の中に出ているゲームの殆どは、お客様の生活に着目して作られたのではなく「ゲームを見て」作られたゲームだと僕は思います。

お客様の生活に着目しなければ、本当の意味でお客様が何を必要としているかを見失います。

それにより、客離れ、新しい顧客を得られない、という事に繋がります。


お客様の生活、という視点を持ってもらうために、少し皆様にも考えてもらいたい事例があります。

質問:TV番組の「仮面ライダー(シリーズ)」は誰のどんなニーズ(必要性)に応えているでしょうか。

明日、この事例についての中村の考えをブログのエントリーにしようと思います。

お楽しみに。

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アーケードゲーム開発のよさ(2)

On 2010年11月28日, in ブログ, by nakamura
finalfurlong02.gif

この記事の所要時間: 約 2分56秒 Tweet 前回のエントリーで、アーケードゲーム(ゲームセンター等に置かれるゲーム機)開発の良さについて、お客様が自分達の商品で遊ぶところを企画開発する人が直接見ることができる事を挙 […]

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この記事の所要時間: 256

前回のエントリーで、アーケードゲーム(ゲームセンター等に置かれるゲーム機)開発の良さについて、お客様が自分達の商品で遊ぶところを企画開発する人が直接見ることができる事を挙げました。

過去エントリー:アーケードゲーム開発の良さ(1)

それによって、商品を生み出す人のモチベーションが高くなる事が一つの良さだと思います。

もう一つ、今こそアーケードゲームの開発の文化の良さを見直すべきと考える理由があります。

それについて少し説明しましょう。


アーケードゲームがヒットする条件の基本は下記のような事です。

  1. 見ているだけで、最初に100円をお客様が入れたくなる事。
  2. 一度遊んだら、また100円をお客様が入れたくなる事。
  3. 日を変えてもまた繰り返し遊びたい、と思わせる事。

finalfurlong02.gif

100円で1ゲーム、というコインオペレーションの場合、おおよそ目安があって、100円1プレイ、およそ3分が適当とされていました。

長く遊べたほうが満足してもらえるかもしれませんが、ゲーム機の元を取るためには3分程度でもう一度100円を入れてプレイしてもらうというスタイルです。

この事がゲームデザインに大きな影響を与えています。

「お客様は理解できないものは買わない」というエントリーを書きましたが、最初にお客様に100円を入れてもらうためには「理解」してもらわないとダメなので、複雑でない、ルールや遊び方はすぐに理解できる事が求められました。

過去エントリー:お客さまは理解できないものは買わない

何をするゲームなのか、どういうルールなのか、どう操作すればよいのかは、100円を入れる前に理解できる必要性がありました。

同時に、プレイを始めたら、1分で面白さが分かり、3分程度でゲームが終わる頃にはもう100円を入れたくなっている、という事が求められます。

しかも、遊ぶたびに新しい発見があり、またやりたい、と思わせる必要がありました。

多くの人に遊んでもらい、なおかつ何度も遊んでもらうという事が基本です。

結果的に、シンプルで分かりやすく、すぐに面白さが伝わる上に、何度も遊びたくなる奥深さ、がゲームデザインの中心となるようになっていました。


そんなのは昔の話でしょ、と思うかもしれません。

しかし、今は例えばiPhoneのアプリのゲーム等で求められている事は同じ条件ではないかと思うわけです。

シンプルで分かりやすく、すぐに面白さが伝わる上に、何度も遊びたくなる奥深さ。

無料や100円程度のゲームがあふれている状態では、この条件を満たす事は非常に大事です。

iPhoneアプリ “Angry Birds” from Youtube

iPhoneアプリ AngryBirds ダウンロードはこちらからAngry Birds - Clickgamer.com

ルールや遊び方を理解するだけで何十分もかかっていては、仮にそれを覚えればものすごく面白かったとしても、多くの人はその前に遊ぶのを止めてしまいます。

無料のゲームがあふれている現状では、最初1分触った時点で「容量の無駄」と思い、パッと削除、そして二度と遊ばない、という事が普通になります。

家庭用ゲームの場合、アーケードとは遊ぶ時間が違うのだから、同じ事は要求されていない、と思うかもしれません。

確かに重みは多少違うかもしれませんが、僕自身は「もじぴったん」の経験からも、シンプルで奥深い、すぐに楽しさが伝わる事がヒットの要因の一つになると思っています。(詳しい話はいつか別のエントリーでするつもりです)

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アーケードゲーム開発の良さ(1)

On 2010年11月27日, in ブログ, by nakamura
DSC04230.jpg

この記事の所要時間: 約 2分5秒 Tweet 前のエントリーで商品を企画開発する人が上流、と呼ばれていてお客様から遠い存在になっている、という話をしました。 過去エントリー:ゲーム開発が「上流」と嫌みを込めて言われる訳 […]

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この記事の所要時間: 25

前のエントリーで商品を企画開発する人が上流、と呼ばれていてお客様から遠い存在になっている、という話をしました。

過去エントリー:ゲーム開発が「上流」と嫌みを込めて言われる訳

僕のナムコに入ってから後のしばらくのお仕事はアーケードゲーム(主にゲームセンター等に置かれるゲーム機)の開発の仕事でした。

その後、もじぴったんの家庭用版(PS2,GBA)の開発をきっかけに初めて家庭用ゲーム機の開発に取り組んだわけです。

その経験から感じた事は、家庭用ゲーム機向けのゲーム開発に比べて、アーケードゲームの開発のほうがよりお客様の観察をしやすかった、お客様の事を知りやすかったという事です。

ゲームセンターに行けば、実際に直接お客様が遊ぶところ(遊ばないところも!)を見ることが出来ます。

足で稼いで、色んなお店を色んな時間に見て回れば、製品の問題も、お客様が何に喜んでいるのか、それはどんなお客様なのか、という事も分かります。行動をよく見ていれば、理由もなんとなく想像できます。

製品も発売前に実際にお店に設置してテスト(ロケテスト)されてから実稼働させるのが普通です。

ロケテストの結果で製品の改良ポイントをつかんで改良しますが、実際、これによって製品の大きな問題が解決される事も少なくありません。


対して家庭用ゲーム機の場合は、お客様のゲームソフトの使用実態、遊んでいる所を直接見ることはかなり難しいです。

家庭用ゲーム機向けの仕事しかしたことがなければ、自分が開発した商品が実際にお客様に遊ばれている所を一度も見たことがない開発者のほうが実の所多いのではないかと思います。

僕は、このお客様が遊んでいる所を見られるという良さは、単純に自分たちが開発した商品の改善改良のため、というだけではないと考えています。

開発者のモチベーションは、お客様が喜んでくれている所を実際に見る事で生まれてくるものです。

それはお金に換えがたい喜びだし、その事が次の商品をもっといいものにしよう、という意欲を生むんです。

仮にお客様が狙い通りに喜ばなかったとしても、それは悔しさとなって次に繋がるでしょう。


だからアーケードがいい、といいたい訳ではありません。

家庭用ゲーム機(やそれ以外)の開発では難しいとしても、僕は商品企画者、開発者がお客様が実際に商品を使っている、遊んでいる所を見る機会を作るべきなんだと思います。

難しいなら、それこそ知恵の絞りどころだと思いますね。

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ゲーム+マーケティング=胡散臭い?

On 2010年11月16日, in ブログ, by nakamura

この記事の所要時間: 約 1分37秒 Tweet 僕が本格的に業務でマーケティングに取り組み始めたのは、PS2版, GBA版のもじぴったんの発売後。 ちょうどその頃にプロデューサーの能力を高めるためにナムコ社内でマーケテ […]

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この記事の所要時間: 137

僕が本格的に業務でマーケティングに取り組み始めたのは、PS2版, GBA版のもじぴったんの発売後。

ちょうどその頃にプロデューサーの能力を高めるためにナムコ社内でマーケティングの研修が始まったのだった。

最初は期待半分、疑い半分。面白いゲームがマーケティングなんぞで生まれるのか、と思っていた。

しかし、元々真面目な性格なもので、真面目に取り組んでみた。元々学んでいたのが日用品のマーケティングの手法だったので、ゲームの場合は同じ事が言えるのかも取り組みながら試行錯誤をしてみた。

結局僕がたどり着いた結論は、ゲームでも日用品でも、「お客様の事をよく知り、喜んでもらう。喜んで商品を購入して頂いて、喜んで使ってもらう」という点において共通で、何ら変わりが無く、商売の原則は変わらない。だから、マーケティングをよく理解する事は大切だということだった。

それでも違和感を感じる人はきっと多いだろう。

それは一つには「マーケティング」という言葉自体が、まず人によってまったく違うイメージを持たれている上に、正しく理解されていないからだとも思う。

あなたがどこかの会社の方と名刺交換して「マーケティング部」という所属だったとする。

その会社や業界によっては「マーケティング」は、

  • 「販売、営業」
  • 「プロモーション」
  • 「市場調査」
  • 「トータルな商品企画」

と、全然違う意味でとらえられている(多分、ゲームの世界では上二つが多い)。

そんな状態だから皆が異なるイメージを持っていてもしょうがないと思う。

僕自身は、マーケティング=「商売学」だと思っていて、商売における原則を知るための実学と思っている。

扱うものが違うだけで、変わらないものは変わらないのではないかと。

お客様が求めないものは売れないのは変わらない。

結局、人間が商品を作り出し、売り、人間が買って使う、という構図はどんな商品でも一緒ですからね。

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ゲームが面白すぎると困る?

On 2010年11月15日, in ブログ, by nakamura
テトリス パーティープレミアム

この記事の所要時間: 約 2分19秒 Tweet ゲームの開発者は、いかに面白いゲームを作るかが目的と思ってしまう。面白ければ面白いほど、お客様は満足し、売れる、という思い込みからだ。 いくつかのエントリーで、商品として […]

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この記事の所要時間: 219

ゲームの開発者は、いかに面白いゲームを作るかが目的と思ってしまう。面白ければ面白いほど、お客様は満足し、売れる、という思い込みからだ。

いくつかのエントリーで、商品として「お客様の生活」の事を考えた場合、それだけでは売れない商品になってしまう可能性について述べた。

エントリー:生活にあわなければ面白いゲームでも購入されない

エントリー:追求すべきは誰の満足?プレイヤー、ユーザー、それとも?

実は、場合によっては「ほどよく面白いけど、面白すぎない」事がお客様のベネフィットに繋がる、お客様の生活にあうというケースも少なくなくある。

首都圏に住んでいる人なら、電車の中などで携帯電話のゲームを遊んでいる人はよく見かけるだろう。それなりに携帯アプリが認知されて皆がゲームを始めた頃、かなりの確率で「テトリス」を遊んでいる人を見かけた。

テトリス パーティープレミアム
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でも、テトリスをダウンロードしたサイトには他にも面白いゲームはあったはずである。

お客様の立場で見てみよう。

テトリスはシンプルで遊びやすい。ルールも知っている。当然トライアル(最初のプレイ)もする。プレイする。ちょっと操作しにくいかもしれないが、テトリスの楽しさは味わえる。

通勤の電車の中でプレイする。立っている時は片手はつり革だったりカバンだったりする。片手でプレイできる。

そうこうして遊んでいるうちに会社の最寄り駅に到着。あるいはすぐに返信しなければいけないメールの着信があった。

さて、もし遊んでいるゲームがものすごく面白くて、例えばクリア間際(ex.もう少しでボスを倒せる)だった時、パッと気持ちよく止められるだろうか?

多分、多くの人は(クリアという概念のなく、ほどよい面白さの)テトリスだったら止められるのである

特に携帯電話(携帯ゲーム機)の場合、この「パッと止められる」というのは大きなベネフィット(お客様にとってのメリット)である。

単に中断できればいいという問題でもない。

「気持ちよく」止められるか、止めても不満が残らないかが大事だったりするわけだ。

ゲームを面白くすれば売れる、は実はゲーム制作者の思い込みではないか。

本当にお客様のため、お客様の生活にどう役立つかを考えたら、違う答えが見えてくるかもしれない。

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生活にあわなければ面白いゲームでも購入されない

On 2010年11月14日, in ブログ, by nakamura
コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア

この記事の所要時間: 約 2分39秒 Tweet ゲームの制作者は、ゲームを遊ぶお客様が「遊んでいる時に」楽しめるように作る。 しかし、遊べなければ楽しめない訳だし、遊ぶ事ができそうにないな、と思えばそもそも商品として購 […]

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この記事の所要時間: 239

ゲームの制作者は、ゲームを遊ぶお客様が「遊んでいる時に」楽しめるように作る。

しかし、遊べなければ楽しめない訳だし、遊ぶ事ができそうにないな、と思えばそもそも商品として購入されない。


あるファミコン世代(今30代後半〜40代前半位)の男性が仮にあるシューティングゲーム(FPSと呼ばれるジャンルの敵を撃ち倒すゲーム)を遊びたい、と思ったとする。

コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア
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カレは昔からゲーム好きで、色んなジャンルのゲームをしてきたし、今もゲームは好きだ。

カレには既婚で子供がいる。平日朝のテレビは子供が幼稚園や学校に行くまではチャンネルはNHK教育になっている。

自分の時間もないし、このタイミングでは遊べない。

電車に乗り、会社に出勤。もちろん仕事。

帰宅して夕食を家で食べ、さてどうしよう、と思っても、テレビはゴールデンタイムの子供も妻も楽しめる番組に。

そんなタイミングで男性が敵を撃ち殺すゲームでテレビを占拠してやろうとしたら、妻の「子供の前でそんな事やらないでちょうだい!」という怒号が飛ぶに決まっている。

さて、妻が子供を寝かしつけてようやくテレビが子供のものでなくなった所で、あのゲームを、と思う。

しかし、妻は録画したドラマを見始める。自分はパソコンに向かうか、妻と一緒にそのドラマを見る。

逆に自分のやりたいそのシューティングゲーム遊んでいて、横で見ている妻が楽しめるか…答えはNo.

多分、妻はイライラする。そしてプレイする旦那に話しかけるも生返事。プレイが落ち着いた時には男性は何故妻が怒っているのかよく分からない状態になる。

妻が風呂に入る。よし、ゲームを遊ぶチャンスだ。

テレビをゲーム機に切り替えて、ディスクを入れて、ロードを待って….よし、スタート。

しかしそこまでに時間がかかりすぎ、結局ゲームの本編に入る頃には妻は風呂から出てくる。

気づいたら、自分も風呂に入って寝なければいけない時間。無理して起きてゲームをやる手もあるが、明日は朝から会議だし….

休日は?逆に子供は一日家にいるので、むしろ自分一人でテレビでゲームを遊ぶ事は難しい。

遊べないんじゃ仕方がない。

ゲーム機を持っていても、この男性は結局そういうソフトは買わない。

これはあくまで一例だが、どんなに「遊べば」面白いゲームでも、お客様の生活のシーンにそのゲームを遊ぶタイミングと時間がなければ遊べないし、購入しない。

お客様の生活を十分に配慮したゲーム商品は世の中にどれほどあるだろうか。

プロデューサーは、ちゃんと商品として成立するために、お客様の生活の事をよく知らないといけないのである。

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人間中心のエンタテインメントの創造を

On 2010年11月12日, in ブログ, by nakamura

この記事の所要時間: 約 1分35秒 Tweet 今のゲーム制作は技術とか、お金(いくら儲けるか、売れるか)とかにフォーカスしがちのように思うが、僕は今一度「人間」にフォーカスをすべきではないだろうかと思う。 &nbsp […]

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この記事の所要時間: 135

今のゲーム制作は技術とか、お金(いくら儲けるか、売れるか)とかにフォーカスしがちのように思うが、僕は今一度「人間」にフォーカスをすべきではないだろうかと思う。

 

ゲームを作るのも、売るのも、買うのも、使うのも、遊ぶのも、全て人間なのだ。当たり前なのに、今、作る人も売る人も、買う人も使う人も遊ぶ人も皆幸せになっているとはいえない。何が原因なのだろう。

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人を喜ばせる快感を知ったらこの仕事は辞められない

On 2010年11月11日, in ブログ, by nakamura

この記事の所要時間: 約 2分29秒 Tweet ちょっとカタい話が続いたので、少し昔話でも。 僕がパソコン(当時マイコンと言われていましたが)にはまり始めたのは小学校4年生位。 当時ゲームセンターは危ないから子供は行っ […]

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この記事の所要時間: 229

ちょっとカタい話が続いたので、少し昔話でも。

僕がパソコン(当時マイコンと言われていましたが)にはまり始めたのは小学校4年生位。

当時ゲームセンターは危ないから子供は行ったらいけないと言われてた頃でした。

あるときパソコンがあれば、ゲームが出来るという事を知りパソコンに夢中になりました。

たまたま町中に住んでいた僕は近くのデパートのパソコン売り場に入り浸りになり、マイコンBASICマガジンとか、I/Oとか、そういう本に載っているゲームのプログラムをお店のパソコンに打ち込んでゲームをしていました。カセットテープを持ち込んで、打ち込んだゲームをテープにセーブして、次のゲームの打ち込みをする。

若い人にはまったく分からない世界かもしれませんが、当時はそういう時代でした。

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枯れた技術の水平思考

On 2010年11月7日, in ブログ, by nakamura
横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力

この記事の所要時間: 約 3分46秒 Tweet 最近あるゲーム会社の経営者がこうこぼしたそうです。 「最近はクリエイターがいなくなった。皆サラリーマンになってしまった」と。 僕も確かに同じ事を考えていました。 でも多分 […]

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この記事の所要時間: 346

最近あるゲーム会社の経営者がこうこぼしたそうです。

「最近はクリエイターがいなくなった。皆サラリーマンになってしまった」と。

僕も確かに同じ事を考えていました。

でも多分、それを言った経営者はそうなったのは何故なのか、については分かってはいないでしょう。分かっていればもう行動に移しているはずですから。

過去のエントリで言いましたが、ゲーム機のハードの高機能化、高度化を「常識」とし、そのハード用のゲームの開発にお金が過去の2倍も3倍もかかることを「常識」としてしまっていたのが、僕はそもそも間違っていたと思います。

当然、利益は圧迫され、経営的に余裕がなくなり開発者からは自由を奪う方向に行くでしょう。自由を奪われた開発者からはクリエイティブが自然と失われます。

遊びは遊び(ゆとり)から生まれるんです。

場合によっては、本当にクリエイティブな人ほど、その会社から離れる事になるでしょう。

ハードが進化したなら、逆に開発費は1/2, 1/3になってもいいのでは?高機能だからって全部の機能を使い切らなくてもいいのでは?こう考えるのはナムコ(バンダイナムコゲームス)でもごく少数でしたが、少なくとも僕は、

「お客様を楽しませる事が目的ならば別にすごい技術やすごいハードは必要ない。そこに必要なのはアイデアだ」

と10年前から考えていました。

最初の家庭用もじぴったんの開発費は社内でも1,2を争う低予算でした。当時の社内の別プロジェクトに「ああ、あのプロジェクトは12もじぴったんだね(もじぴったん開発費の12倍の意味)」等と笑いながら言ってました。

PS2版のもじぴったんは、PS2の処理能力の数%しか使ってませんでした。通常、ある程度の処理をするゲームは最後にチューニングして、処理スピードを上げないといけない事が多いのですが、もじぴったんには殆ど必要ありませんでした。メモリがたっぷり余るので、オンメモリ(全部最初にロードして、途中のロードなしにする)にすれば、さくさく遊べていいからそうしよう、とプログラマに言いました。技術的にはそっちが簡単だし、お客様にもメリットがあるからです。

種明かしをすればお手本がありました。

「枯れた技術の水平思考」

これは元任天堂でゲームボーイ等の開発をした故横井軍平さんの言葉です。

DSやWiiが従来の延長線上、つまり常識的な考え方ではない方向で発想されて世の中に出たのは、任天堂にその考え方が根本的にあったからだと思います。

横井軍平さんの事をもしご存じなければ関連書籍を悩めるゲーム開発者に是非読んで欲しいと思います。

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エンタテインメントには驚きが必要

On 2010年11月5日, in ブログ, by nakamura

この記事の所要時間: 約 1分14秒 Tweet 分かっている人にはあたりまえの事かもしれないが、僕は今のゲーム業界にはクリエイティブとアイデアが不足していると思う。 常識的には発想できない事を発想し実現するのがクリエイ […]

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この記事の所要時間: 114

分かっている人にはあたりまえの事かもしれないが、僕は今のゲーム業界にはクリエイティブとアイデアが不足していると思う。

常識的には発想できない事を発想し実現するのがクリエイティブ。その結果として今までにないアイデアが生まれる。今までにないアイデアを産み出すためには常識を破る必要がある。常識的に考えたものは誰もが想像がつくものになるからだ。エンタテインメントには驚きが必要とされている。驚きとは予想しなかった、つまり常識的に考えても想像もしなかったことが起こった時に人は感じるのだ。

そういう驚く、楽しい事が次々に起こるとき、人はワクワク感を感じる。そのワクワク感こそがエンタテインメントには求められているのだ。僕と同世代のゲーム好きな人なら分かるだろうが昔はゲームにはそのワクワク感を感じていた筈である。今はどうだろう。あの時のようにワクワク感を感じられているだろうか。

今のゲーム業界には驚きが足りない、と思う。クリエイティブが不足しているのだ。結果新しい驚きのあるアイデアが出てこない。お客様はワクワクしない。結果的にゲームに何かを期待している人は減少しているというのが現状なのではないかと思う。

残念ながらゲーム業界でこの事を理解して行動に移している経営者は本当に極少数だ。

ネガティブなループに入って余裕がなくなっている今は、それどころではないと考えているかもしれないが、そういう時こそ本当はクリエイティブである事が大事なのだけれど。

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