前エントリーでは僕が何故ゲームショップで働きたいと思ったかの理由をお伝えしました。
新品ゲームソフトの販売は小売店にとっては仕入れ原価が高い(定価の75%)、非常に利幅が薄く(店頭では新品ゲームソフトは少なくとも10%以上値引きされている)、かつお店が仕入れる時に買い取らないといけない(リスクは小売店が持つ)ため、利益を出すのは非常に難しいのです。
仮に20本仕入れて、1本売れ残ったとしてもお店としては利益は残らないどころか、アルバイト店員のバイト代が出せるかどうか。テナント料や電気代等の経費も考えるとお店としては利益は出ない。そんな商売なのです。
売れるまで、おいておけばいいじゃないか。
そう思う人もいるかもしれません。
しかし、在庫のソフトを売って現金化しない事には、次の月に発売されるソフトを入荷する事もできません。ですから、値下げして、損をだしても早く売ったほうがよい、という事になります。
仮に自分のお店が値下げしなかったとしても、他のお店が値下げしたら、結局のところ値下げせざるを得なくなります。
さらに問題なのは、当時の、そして今もですが、殆どの家庭用のゲームソフトは売れるのは発売からすぐの間だけで、ちょっとの期間の後はパッタリ売れなくなってしまう事です。在庫が少しでも残れば利益は飛んでしまいます。
かといって、仕入れる本数を絞りすぎると売上が上がらなくなってしまい、チャンスロスとなりますし、ある程度の本数を売らない事にはお店のテナント料、電気代やバイト代を稼ぐ事もできません。
メーカーが何十万本出荷して利益がでた、みたいな事を言っていても、お店で実際に起こっている事は仕入れた在庫が売れないために大損覚悟で価格を下げて投げ売りして、小売店はまったく儲かっていないなんて事はざらにあるのです。
(正直な所、お店が儲かったという事例のほうが少ないと思います)
僕は、そんな事も全然知らずにゲームを作っていました。
多分、業界にいる人の中でも、特に開発に携わる人でそんな事情を知らない人は少なくないだろうと思います。
実のところ色々複雑な事情があるのですが、小売店は少なくとも新品ゲームソフトの販売だけでは食べていけない、というのが実情なのです。
さて、明日以降も続きます。
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