今からおよそ10年前、僕はナムコで働きながら、当時のゲーム業界の流れになんともいえない違和感を感じていました。
PlayStation 2 が絶好調な時代、ゲーム開発者の誰もが「綺麗でリアルなグラフィックのゲームが売れる」と言わんばかりに開発に時間とお金をかけて、そのような方向に進んでいました。確かにそのような指向のゲームにヒット商品は生まれていたし、PS2でなければ実現できないゲームを作るというのは、確かに当時の進む方向性の一つではあったとは思います。
ただ、そういう方向性で進んでいくとPlayStation 1 の時代に比べて遙かに開発費も時間もかかるにもかかわらず、売り上げが2倍、3倍になるか、といわれれば決してそんな事はなかったように思います。何かがおかしい、僕はそう思っていました。
そんな時に出会ったのが「もじぴったん」の企画。アイデアにあふれた、シンプルで今までにない面白さのゲームでした。僕がやりたかったのはこういうものだ、そう思い立ち上げからずっと「もじぴったん」に関わってきました。
その後ハイエンド機の話が段々明らかになっていくと同時に、PlayStation 2の時でも開発費の高騰とそれに見合う売り上げが上げられるか微妙な状態だったのに、いったいどうなるんだろう?本当に従来の延長線でモノ作りをしていくべきなのだろうか。それを疑問に感じていました。僕はもっと違う発想、アイデアが必要に感じていました。
10年経って、あの時に感じていた違和感が、ただの思い過ごしではない事を実感しています。今後しばらくの間、立ちゆかなくなるゲーム会社が続々と出てくるでしょう。
今のゲーム業界に足りないのは「クリエイティブ」でありそれから生まれる「アイデア」だと思います。残念ながら構造的に本当にクリエイティブが発揮できる環境でゲームを作っている人は希でしょう。
ですからネガティブスパイラルに陥り、さらに「アイデア」が不足する状況にあるのです。
次回は何故「クリエイティブ」と「アイデア」が必要なのかについてお話しようと思います。
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