今までいくつかのプロジェクトに関わってきて、うまく行った(単に売上げがあがったとかだけではなく)プロジェクトとそうでないプロジェクトの違いとなっている一つの要因は、プロジェクトに関わる人がそのプロジェクトの「目的」をしっかり共有しているか、という所が一つの違いになっていると感じています。
あえて、「目標」とは言っていないのは、往々にしてプロジェクト半ばで状況や環境が変わって「目標」は修正をするべき必要が出てくる事が多いからです。
商品開発プロジェクトでの目的は、実は商品を完成させる事ではありません。
(多くの商品開発プロジェクトは、ここで間違いを犯しています)
商品開発プロジェクトで目的にすべきは、商品そのものではなく、その商品開発の目的である、どんなお客様に、どんないい事をもたらすかという事です。そしてそれがしっかりと目的として共有されている必要があると考えています。
でないと、商品の開発が色んな理由、例えば技術的、人員的、その他で暗礁に乗り上げてしまった時に、皆で打開策を打ち出す事が難しくなってしまうのです。
目的が「お客様にどんないい事をもたらすか」という形で認識が出来ていれば、場合によっては商品開発の方向性を変えてもいい、やり直してもかまわない、あるいは、目的から考えれば、当初考えていたのとは違うアイデアで実現をすればよい、という発想ができるようになります。
仕事で何かつまづいた時、問題にぶちあたった時は「そもそも今やろうとしている事の目的はなんだろうか」を考えてみる癖をつけるのがよいです。単に目の前で起こっている問題を対処療法的につぶそうとすると、商品開発であれば、ちぐはぐな仕様などを生み出しがちです。
そのためには「何故今これをやる必要があるのか」「そもそもの目的は何か」「プロジェクトの目的と矛盾しないか」等を常に考えて手段と目的の関係を常に頭の中で組み立てて考えておき、問題がある手段が出てきたら、目的に立ち返って違う手段で解決できないかを考えるという思考パターンを身につけておくのがよいと思います。
プロデューサーとしては、その意味でプロジェクトの大義=プロジェクトの目的、をしっかりと皆に共有してもらう事が一つの大きな仕事となります。
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この記事の所要時間: 約 1分30秒 Tweet ゲームハードを購入するお客様に話を聞いている時に、ゲームのハード(プラットフォーム)を購入する事を「投資」というシーンに何度かあいました。 何故「投資」なのかを考えると、 […]
[続きを読む]ゲームハードを購入するお客様に話を聞いている時に、ゲームのハード(プラットフォーム)を購入する事を「投資」というシーンに何度かあいました。
何故「投資」なのかを考えると、次の二つの大きな理由がありそうに思います。
(1) 投資したハードウェアのお金は、段々回収していく
ゲームハードは高額で、1本のゲームソフト、数回のゲームプレイだけでは元が取れない、という意識があるのかと思います。
(2) 投資したハードウェアのお金分、回収できない、元を取れない可能性がある
今のようにゲームのハードウェアが複数出ている場合、自分が欲しい、遊びたいと思っているタイトルがそのハードで出るとは限りません。
ですから、回収できない可能性も含めて「投資」と言う表現をしているのではないかと思います。
購入したハードが高ければ高いほど、後に不安を感じます。
自分が購入したハード以外に自分が欲しいソフトが出たりすると、そういった不安が高まります。
ハードが高額なので、仮にゲームソフトが出なくても楽しめるような「保険」をハードに求める事もありますね。
AV機能とか、実用的に使える何かの機能とか….
今の高額なゲーム機は相変わらず購入前にお客様に「リスク」を負わせているという側面を持っています。
もしゲーム機の値段が下がったら全部買えばいいのか…というのも違う気がします。
ここでは、ハード(プラットフォーム)の話をしましたが、実は高いゲームソフトを購入するのも、同じく「投資」という感覚をお客様が持つ事があります。
そもそも、購入前に楽しめないかもしれない、という「不安」があるという事が実は問題で、商品を作る側は、その不安をどうやったら小さくできるのか、という事について知恵を絞る必要があると思っています。
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この記事の所要時間: 約 1分47秒 Tweet プロデュースにおけるコンセプトとは、 誰にとって ( 顧客 ) どんなよい事がある ( ベネフィット=便益 ) 何であるか ( カテゴリー ) を簡潔に述べたものです。 […]
[続きを読む]プロデュースにおけるコンセプトとは、
- 誰にとって ( 顧客 )
- どんなよい事がある ( ベネフィット=便益 )
- 何であるか ( カテゴリー )
を簡潔に述べたものです。
ここで、(誰にとって)の部分はお客様に明確に知らされるケースと知らされないケースがありますが、プロデュースをする側は(誰にとって)はコンセプトの中の重要要素です。
これは最低限の要素ですが、最低限の表現にした時に「するどい」コンセプトになっているかどうかはそれが商品ならば成功するかどうかを左右します。
もしプロデュースする商品のコンセプトが簡潔にまとまらないのであれば、それは何か根本部分を見直した事がいいことを意味しています。上記の要素が全て「一言でズバリ」言えないのであれば、言えるまでコンセプトを考え直す必要があります。
【誰にとって(顧客)】
あまりターゲットという言葉は使いたくないですが、商品をプロデュースするならはっきりとした対象となるお客様がイメージ出来ているはずです。何歳位の男性、女性。既婚、未婚。子供の年齢、どんな生活をしている人か…。 商品企画書に「オールターゲット」と書かれたものを見る事は珍しくありませんでしたが、そういうのは顧客が見えていない典型です。
【どんなよい事があるか】
お客様はその商品が何かしらのいい事を提供してくれるからその商品を購入するわけです。 売れる商品を開発する上で大事なのは、その「よい事」がお客様が強く欲していて、なおかつ他では得られない事である事です。
【何であるか】
まったく新しい商品であればあるほど、それが一言で言うと何であるか(カテゴリー)が大事です。本当に新しい商品の場合、このカテゴリ名を作り出す必要が出てきます。仮に既存のカテゴリ上の商品だったとしてもカテゴリを明確にする必要性があります。でないと、お客様はそれが何なのかを理解することが出来なかったり、理解するのに時間がかかったりするからです。
多分実例を見れば多少ピンとくるんじゃないかと思います。
次回以降でコンセプトの実例を使ってもう少し深く説明をします。
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[続きを読む]僕がプロデューサーになりたての頃、今まで作ればよいという立場から、作るだけでなく売るという所まで責任が広がって、色々分からない事だらけだったので、とにかく書籍を買いあさって暇があれば読んでいました。
多くの本はなるほど、と思いつつも、実践的でなく実際のシーンでは役に立たなかったり、自分に合わない、あるいはゲームという商品ジャンルでは何かピンとこない、と思うものが殆どであったと思います。
そんな中出会った本の1冊が、「60分間・企業ダントツ化プロジェクト – 顧客感情をベースにした戦略構築法」です。
ダイヤモンド社
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iOS のアプリにもなっています。iPad, iPhoneのユーザーの方はこちらもお勧めです。
iPhone/iPad アプリ: 60分間・企業ダントツ化プロジェクト
「もじぴったん」のプロジェクトはナムコという業界ではそれなりに大きい会社ではあったけれども、プロジェクトの規模は最小単位に近くて、大企業の中の、小さい会社的なイメージでした。
なので、会社的な優先順位はいつも低くて、低予算で、少人数でどうやったら成果を上げられるか、が肝だったのです。
この本は、どちらかといえば中小企業で、いかに戦略的に長期的に成功を収めるか、あるいは、新規事業で成功するための条件をわかりやすいフレームワークを元に考えていくステップを紹介しています。
僕がこのブログでも何度も話をしている「戦略」のベースの考え方についても詳しく述べられています。また、実際の中小企業での成功例(しかも意外な戦略で)がいくつも挙げられています。
「もじぴったん」プロジェクト初期に何をしたらよいか迷っている時に、この本は役に立ちました。
僕らのような小さいプロジェクトは普通のやり方をやっていたのでは負け、だからこそ戦略が必要で、その時に考慮すべき点も同時に理解しました。実際、あるシーンで、この本に載っていたフレームワークそのものを使って活路を開いた事もあります。
この本を書かれた「神田 昌典」さんの本は、一時期僕はツボっていて、著者を見ないで書店のビジネス書コーナーで役に立ちそうな本を3冊買ったら、3冊とも神田さんの書籍だった事がありました(笑)。
ご紹介した「60分間・企業ダントツ化プロジェクト」は古い本ですが、中小企業や大企業の中でも小さめのプロジェクトのリーダー、新規事業を立ち上げる必要がある人、等の方にはお勧めの書籍なのでご紹介しておきます。
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この記事の所要時間: 約 1分33秒 Tweet プロデューサーの役割の大きな一つは商品やサービスに「一つの軸を通して貫く」事です。 その軸を「コンセプト」と呼びます。 商品企画、開発、宣伝等、プロジェクトで何をやって何 […]
[続きを読む]プロデューサーの役割の大きな一つは商品やサービスに「一つの軸を通して貫く」事です。
その軸を「コンセプト」と呼びます。
商品企画、開発、宣伝等、プロジェクトで何をやって何をやらないか、はその「コンセプト」に従って決めます。
コンセプトがぶれていると、プロジェクトで仕様等で問題が生じる可能性が高くなるし、商品であればお客様に商品の魅力が伝わらないという事を引き起こしてしまいます。
現実の現場で、プロジェクトがうまく動かない理由の大きな理由の一つは、この軸のブレによるものです。
そして、軸をブレさせない事の重要さをきっちり分かっている必要があるのが特にプロデューサーなのです。
ゲーム開発でいえば、開発を始める前に、ゲームのコンセプトをしっかり決める必要があります。
もちろん、軸となる「コンセプト」はディレクターや現場リーダークラスも十分に把握する必要があります。ただ、このイメージがちゃんと共有できていないとちぐはぐなものが出来上がったりするのです。
コンセプトがはっきりしていないと、宣伝やパッケージの開発時にもブレが生じます。
中身とはちぐはぐな売り方をしても、お客様には伝わりませんし、仮に間違って売れたとしてもお客様の不信感を増やすだけです。
一貫したコンセプトは、お客様に商品が何であるか、どうよいのかを伝えるために必ず必要なのです。
プロデューサーは、迷ったら「コンセプト」に立ち戻る、という事を常にする必要があります。
そして、そのプロジェクトに関わる人にも十分に「コンセプト」を共有してブレないようにするのがプロデューサーの大きな役割の一つです。
商品やサービスに関わる全てに一つの「軸」を通す事。その商品が成功するための一つの必須条件だと言えると思います。
ではそのコンセプトとは具体的にどういうものか、という話はまた次回以降に。
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[続きを読む]継続は力なり、といいます。
マーケティングにおいて最初の入り口となる「観察」においては特に継続する事は重要です。
単発的に観察するのでは得られない事の一つは、継続する事で「変化」に気がつけるという事です。
同じお店を定点観測する事を例に挙げましょう。
同じお店に午前中行くのと、夕方に行くのと夜に行くのでは客層が異なったり、売れるものが違ったりします。
ゲームソフトなら発売日(多くは木曜日)に行くのと土日、他の平日に行くのとではまた全然違います。
単にお客様の層が異なるだけではないです。例えばお客様がお店に滞在している時間は曜日によってだいぶ違います。(この話はいつか詳しくお伝えしようかと思います)
お店では毎週発売される新作が違うのでコーナー展開はほぼ毎週変更しています。
お店に入ったすぐの場所等の目立つ場所で扱う商品は変わる事が多いのですが、逆に何週も変わらないでお店の目立つ位置でプッシュされるものもあります。
僕がよく行く某カメラ量販店ではお店のコーナー展開だけでなく、売り場の場所や売り場面積、導線をかなり頻繁に変えています。
例えば、扱うハード(プラットフォーム)の力の入れ方で、棚が占める面積も変わってきます。
そうそう、ゲームショップ等によくある「ワゴンセール」(違う事もあるけど、在庫処分であまり売れていないのを安く売っている)、普段はお客様がついているのを見かけませんが、ある時期はワゴンに人が群がる事も気がついたりしました。
店頭観察を継続する事、はあくまで一例です。
街ゆく人や、電車の中で人がどういう行動をしているか、といった観察も継続すればやはり「変化」に気づけるはずです。まぁ、実はあまり頻繁にせずに時間をあけて思い出したように観察をしたほうが「変化」に気づく事もありますね。
観察を繰り返していくと変化しているものや、逆に殆ど変化しないこと、繰り返されている事もあります。実は「変化」に気づくと同時にこの「変化していない」事に気がつく事も非常に重要です。
そして、その「変わった」「変わっていない」両方の理由を何故?と考えてみる事で新たな発見が生み出されます。
で、僕はどちらかというと他は変わっているのに「ずっと変わらない」ものを発見して、それをヒントにした事が多くあります。
その実例はまた今度。
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[続きを読む]以前のエントリーで目先の売り上げ利益よりも信頼が大切、という話をしました。
過去エントリー:商売で本当に大事なのは「売上・利益」より「信頼」
しかしながら、ゲームソフト業界の現実は目先の売り上げ利益を追いかけている企業が多い気がします。
その理由の一つは「売上利益は数字という形で見えるが、信頼は簡単には目に見えない」という事です。
「信頼」は簡単に見えませんから、失っても「すぐには」気がつきません。
そして、ジワジワと、ある時は突然、売上利益という数字の形になって現れます。例えば、今まで売れていたシリーズが全然売れない、あるいは会社全体での売り上げが上がらない、といった形でです。
で、ここでも理由はよく分かりませんから、それが過去に信頼を失った事が原因である事には気がつきにくいのです。
接客がメインの店舗経営、サービス業等であれば、「見える」事もあります。今まで常連だったお客様が来なくなったり、来店頻度が下がったり….
でも、やっぱり多くのお客様は「黙って」去ります。
残念ながら、お客様から遠い「上流の」ゲームメーカーがパッケージを作って小売店に売る、という業界の構造ではメーカーが本当にお客様に近づく努力をしなければ、お客様が何を求めているかも、信頼を得ているか失っているかも「気づかない」のです。
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結果的に、大切な「見えない」信頼を失う事で、将来的な売上利益も失う訳です。
ですが、逆も言えます。
「見えない」信頼を得る事で、将来的な売上利益を得る事も出来る可能性を増やせます。
経営者やプロデューサーの役割は、「見える」目先の売上利益だけにとらわれず、将来的に本当に何が大切かを常に考え行動に移す事だと僕は考えています。
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この記事の所要時間: 約 1分9秒 Tweet ある有名なゲームのシリーズの最新作が出た時、ある雑誌の紹介に「クリアまで100時間の超ボリューム!」みたいな事がデカデカと載っていた事がありました。その事がその最新作の売り […]
[続きを読む]ある有名なゲームのシリーズの最新作が出た時、ある雑誌の紹介に「クリアまで100時間の超ボリューム!」みたいな事がデカデカと載っていた事がありました。その事がその最新作の売りだったのです。
それをきっかけにして、僕はそのシリーズを買う事はなくなりました。
「忙しい上に、テレビは家族のもので自分が100時間独占する事はできない。」
好きだったシリーズだったけれど、もう自分向けではない、と思いました。
これまでも何度か実例を挙げてきましたが、娯楽商品は生活の中に無理なく入る事ができなければお客様には楽しんで頂けません。
どんなに遊べば楽しい、面白いゲームでも、お客様の生活の中で遊ぶ時間を取れないと思われたら、購入して頂けないのです。仮に購入して頂けたとしても気持ちよく遊ぶ事が出来ず、次第に遊ぶ、楽しむ事から離れてしまいます。そんな状態で続編なんか出されても買おうという気にはならないでしょう。
ゲームを作っている側はボリュームを増やせば増やすほど価値が上がる、売れる、お客様は満足する、と思いがちですが実はそうではありません。
特に忙しいお客様にとっては「お金」以上に「時間」は大切で、それを十分理解して商品やサービスを提供する必要があると思っています。
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[続きを読む]我が家はケーブルテレビを契約していて、主には海外ドラマの専門チャンネル(FOXとかAXNとか)を録画して見ています。
一番見ているのは妻だけれど、僕も子供が寝静まった後に妻と一緒に見る事もそこそこあります。
ただ、僕が見るのは「1時間1話完結タイプ」のドラマだけ。
続き物のドラマ(LOSTや24等)は時間があっても見ないようにしています。
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何故かというと、忙しい僕の場合、続き物はスキップして見るとストーリーがまったく分からなくなるからです。
一度見てしまうと続きが気になってもやもやしてしまいます。スキップしないで全部見ようにすると次にいつ見る事が出来るか分からないのでハードディスクレコーダーが一杯になってしまいます。で、全部見る時間がとれる気がしません。
映画は録画してあっても殆ど見ません。1時間は夜なんとか時間的にとれることがありますが、2時間の映画は頑張って時間を作るか、夜更かししないと見るのは難しいです。
結果的に「1時間1話完結タイプ」のドラマしか見ない訳です。1話完結であれば、1話でスッキリするし、途中何話か飛ばしても問題なく見る事が出来ます。
この話はドラマの話だったけれども、ゲームにも同じような事がいえます。
やる事が色々多くて忙しい人にとっては、
- 自分が無理しないでもとれる時間の範囲で
- すっきり、キリよく楽しめて
- 終わった後にもやもやしない
という事は大切なのだと思っています。
お客様の生活の中でのエンタテインメント、を考えた時には「時間」に対する配慮が非常に大切です。同時に気持ちよく切り替えて次の事ができるか、という事も大切な要素だと中村は考えています。
ちなみに中村お気に入りの1話完結型のドラマは、
コールドケース(AXNで放映中)
(昔のヒット曲などが効果的に使われているけど、それ故にDVDになってないらしい)
ミディアム 〜霊能捜査官アリソン・デュポア
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あたりですかね。
一話完結が基本なんですが、To be continued … と言われたりしてムキーってなる事もありますよ…(しかも次のシーズンに続くとか…(笑))
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この記事の所要時間: 約 2分18秒 Tweet このブログでは何度か「ブランド」の話をしています。 「ブランド」=信頼の証、ですが、その「ブランド」にも色々な種類があります。 例をあげると、 会社名 ( 任天堂, セガ […]
[続きを読む]このブログでは何度か「ブランド」の話をしています。
「ブランド」=信頼の証、ですが、その「ブランド」にも色々な種類があります。
例をあげると、
- 会社名 ( 任天堂, セガ, …. )
- タイトル ( モンスターハンター, …. )
- クリエイターorプロデューサー名
- チーム名, レーベル名 ( AM2, Team Ninja … )
- キャラクター名 ( マリオ, … )
等があります。
多分挙げた中で、一番お客様に通じにくいのは個人的にはクリエイターorプロデューサー名だと思います。
「XXXXさん」と名前を言われてもわからず、結局「○○○を作ったXXXさん」と言われて、あー、そうなんだとなる事が業界で働き始めて長い僕でもあります。
実際、多分業界で一番有名なクリエイターでプロデューサーの任天堂の宮本さんでも、例えばうちの嫁は知りません(笑)。
宮本さんが作ったマリオは知らないはずがないですけれど….
(宮本さん、見てたらすみません…)
ですが、僕は葛西にあるゲームショップ「ゲームズマーヤ」の秋谷店長にこんな事を教えてもらいました。
「商品(ゲームソフト)をどれだけ入荷するかは勝負。勝負に勝つには誰がプロデューサーで、誰がクリエイターか、何を作ったチームなのか、内部開発なのか外部開発なのか、どの会社が開発等は基本全部調べる。そして過去のそのプロデューサーやクリエイターの勝率は入荷数を決める上で参考にする。このプロデューサーは何勝何敗だから、多めに入れる、あるいは絞っておこう、のように。」
商品がどれだけ店頭でプッシュされるか、はお店次第で、それにより売り上げは確実に違ってきます。
ですから、お客様が買う時には「直接の」影響は少ないかもしれないですが、誰がプロデューサー、クリエイターなのかはお店の人は(ある程度は)知っていて間接的には売り上げを左右しているという事がいえるのかと思っています。
秋谷店長は「プロデューサーは特に勝率で見ている」という事をおっしゃっていました。
この事を聞いた時、僕はプロデューサーとして身が引き締まる思いでした。
プロデューサーとして信頼を持ってもらえなければ、まずお店にちゃんと並べてもらえるかの壁を越えられない訳です。
仮に一度信頼されたとしても、失敗ばかりしていては信頼を失って、より失敗する確度が高くなってしまうのです。
ブランドには「勝率」が密接に絡んでいます。
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[続きを読む]「もじぴったん」GBA版の発売後、購入されたある方と話をして、その方がたまたまGBAともじぴったんを持っておられたので、見せて頂く事になりました。
GBA版のもじぴったんは、遊んでいる度合い(クリア度合い)によって「ゴールドもじくん」「ブロンズもじくん」みたいにゲームのキャラクターがバージョンアップして称号が表示されるという仕様になっていました(ゲームのデータを見るモードの中)。
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で、その方はかなり遊んでいて結構上のステータスになっていて、それを僕に見せたかったらしく「XXXもじくんですよ〜すごいでしょ!」のように言われました。
ところが、同じゲームデータを見るモードの中の「総プレイ時間」は「見ると悲しくなるから、見ないようにしている」と言われたのです。
最初は「時間をかけた割にはあまりクリア出来ていない」事が嫌なのかと思いました。
しかし、その方の場合はそうではなく、「自分がゲームにこんなに時間を使ったという現実を突きつけられているようで、見たくない」という事でした。
前回のエントリーで、好きだからこそ、買わない、遊ばない、という方の理由をお話しましたが、実は「総プレイ時間」を見たくない、という心理も似ている所があります。
僕らは、「もじぴったん」の最初の家庭用ソフトであるPS2版、GBA版を作った際には「他のゲームソフトも同じ総プレイ時間の表示をやっている」「自分がプレイした時間が分かれば出したお金の元を取れた気持ちになれるだろう」位の理由でその仕様を入れていました。
しかし、その後、その常識的な考えを改めて以後のもじぴったんには総プレイ時間の表示はしないようにしています。
興味深いのは、プレイの進行度のステータスは人に見せたくて、リアルな総プレイ時間は「見たくない」という心理です。
他の売れているゲームでやっているから、という理由で同じような仕様を入れる事は考え直さないといけない事に気づいた出来事でした。
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[続きを読む]世の中には、そのゲームが「大好き」なタイプが故に「買わない」という人がいます。
僕はそういう方に何度も出会いました。
もじぴったんの家庭用版が発売された後、ある、まだもじぴったんを遊んでいない女性に是非遊んでみて下さい、と言ったら、「うわっ、すごく好きなタイプのゲーム!」と言った後に「怖いから買わない」と言われました。
何が怖いのかというと、大好き故にハマりすぎて仕事や生活に支障をきたす事を恐れているのです。
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その人は「パズルゲーム」や「クロスワード」が大好きで、夢中になりすぎる事が目に見えているので、絶対にハマる、楽しめる事を確信しながら、それを理由に「絶対買わない、買っちゃダメ」と思っているようです。
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そんなのごく一部の人でしょ、と思うかもしれません。
でも、同様な理由でゲームを遊ばない、買わない、という方は少なくはない、というのが僕の印象です。
時間がたっぷりあって、遊ぶ暇なら沢山ある方なら、そんな事は言わないかもしれません。
でも、ものすごく楽しいが故に生活上の問題が生じる、というのは立派な「買わない」理由になるわけです。
楽しい事よりも、生活上に問題が生じるほうが殆どの場合重大な問題になるからです。
ゲームを作っている人は、楽しい、もっと楽しい、面白い、もっと面白いゲームを作ろうとします。
それが、より売れるゲームになる、と思っている方も多いでしょうね。
しかし、その事が逆に「買わない」一因になっていて、本質的にそれは何故なのか、についてはゲーム制作に関わる方はよく知る必要があると考えています。
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[続きを読む]ファミコンが出る前….の昔の話です。
ちょっと若い人には想像できないかもしれませんが。
正月に親戚が集まった時に、子供が一緒に遊ぶゲームの定番は「すごろく」でした。(あるいはすごろくに近い、人生ゲームのようなもの)
すごろくのゲーム性というと、シンプルに「完全な偶然性」です。
もしかすると、攻略性も何もない「すごろく」は「ゲーム」ではない、と思う人もいるかもしれませんね。
しかしながら、「完全に偶然」(さいころの出た目だけの勝負 ) である事は、正月に親戚が集まるというシーンにおいては非常に有用なのです。
正月に集まる親戚の子供の年齢・性別はバラバラです。
もし、上手い人が勝つ、頭が良い人が勝つ、というルールのゲームならば、小さい子は勝てない事になってしまいます。
で、そういう小さい子ほど負けた時に泣いて騒いだりするのです。
集まっている親は、正月くらいは子供の世話から離れて、お酒を飲んで親戚の人と楽しく話したりしたいわけです。上手いところ、子供達には一緒に遊んで欲しいと。
「すごろく」は、完全に偶然性のみが左右するゲーム性ですから、小さい子供にも勝てる可能性があるわけです。
お兄ちゃん、お姉ちゃんが補佐すれば、とても小さい子でも参加できるし、誰でも勝つ可能性があるのです。
もちろんルールはシンプルそのもの(サイコロを振った目の数だけ進み、ゴールを目指す)です。
そういう意味で、正月の親戚が集まった時の子供達が共通に遊べるゲームとして、親達にとっては、子供達に遊ばせておいて自分達はお酒をゆっくり飲むためのツールとして「すごろく」は定番商品でした。
ゲームデザイナーという職業になっている人にはゲーム好きな人が多くて、やたらとゲーム性とか、複雑なルールとかそういう所ばかりに目をやる人が多いのですが、生活上のツール、という意味でいうと実はそういったゲーム性は必要ない、あるいは邪魔になる場合もあるのです。
お客様が遊ぶシーンを想像して、そして周りにいる人も想像して、皆が喜ぶにはどうしたらよいかを考えてみてはどうでしょうか。
案外、自分達が「ゲーム」とは呼ばないモノがニーズに応えるのかもしれませんね。
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[続きを読む]今は携帯音楽プレイヤーというのは当たり前の存在になっています。
古くはウォークマン、今は iPod。
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自分がその携帯音楽プレイヤーを初めて知って購入しようと思った時を考えて欲しいのですが、購入前に自分がどんなシーンで携帯音楽プレイヤーを使っている所を想像していいと思ったのでしょうか。
多分、電車の中、あるいは待っていて時間がある時等….
そんなシーンは、実は不快を感じているシーンではなかったでしょうか。
あくまで仮説ですが、僕はこういう娯楽製品は「不快」を感じている時に「使われる」事をお客様は想像して価値を感じて購入していると思っています。
先に携帯音楽プレイヤーを例に出しましたが、携帯ゲーム機や、携帯電話でゲームをするのもきっと同じ心理なのではないかと思っています。
自分の生活の中で、不快を感じている時間を紛らわす、あるいは楽しい時間に変えるという商品は、娯楽ではあるけれど、実は生活の中の「必需品」として扱われている気がします。
遊ぶゲームは色々変わるかもしれないけど、その電車の中の不快を感じている以上はそのシーンで「毎回使われる実用品」なのではないでしょうか。
ゲームも含めた「娯楽商品」は一般的には「必需品・実用品」とは思われない傾向がある気がします。
僕もナムコに入社してから何度か、ゲームは必需品ではない、という事を周りから言われた気がします。
ですが、度々起こる生活の中の不快を解消する商品は娯楽商品であっても「必需品」であるとお客様は感じているのではないかと思います。
おそらくそういうお客様には既に「ないと困る」ものになっているのです。
で、僕は「娯楽商品」でありながら「必需品」になっている商品が実はヒット商品になっているのではないかと思っているのです。
詳しい理由や事例はまた別のエントリで。
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[続きを読む]クリスマスが近づいてきていますね。毎年12月、ゲームショップは一番の賑わいを見せます。
その理由の大きな一つは、子供向けのクリスマスプレゼントのためです。
今の時期、親御さんが子供のクリスマスプレゼントを購入しにゲームショップにやってきます。お店も購入されるだけでなく、ラッピングのサービスをしたりする事もあって大忙しになります。
小さいお子様がおられるご家庭であれば分かると思うのですが、クリスマスのサンタさんのプレゼントは子供が選んでいるようで、実は「親」が最終的に選んでいます。
子供が欲しい、と言った商品(おもちゃやゲーム)を親が買うんじゃないの?と思うかもしれません。
しかし、実際はこんな感じです。
子供はテレビ番組や、友達が持っていたりするモノに影響されて、あるおもちゃ、ゲーム等が欲しくなります。
それはクリスマスよりずっと前、下手をすれば年明けぐらいからずっとです。
子供は欲しがりますが特に高価だったりすると、そんなに簡単に買ってあげるわけにはいきません。
ゲームソフトの値段帯は、サンタさんがいるって思っている位の年齢の子供には、欲しい、というだけでは買わないと思います。
ですから、親は「じゃあそれは、誕生日かサンタさんにね」と言う訳です。
ここで重要なのは、子供は他から影響されやすく、好みや欲しいものもコロコロ変わりやすいという事です。
あのゲームが欲しい、と言った3日後には、別のおもちゃを欲しがっている事は普通にあります。
実際にお子さんがいれば、どれくらいコロコロ変わるか分かるでしょう。
で、実際にクリスマスにサンタさんにお願いするプレゼントは、実際にはそのコロコロ変わる欲しいものの中から、値段や買い与えてよいものか、ためになるか、すぐに飽きてしまわないか、兄弟で喧嘩にならないか、等を細かく考えて、実際には親が決めてしまっているのです。
そんな訳で、この時期の親は子供と駆け引きをして、あんまり高くなくて、簡単に飽きてしまったりしなくて、できれば子供のためになるような商品で、子供が満足するプレゼントを選ぶのです。
子供向けのおもちゃやゲームは、作っている側は「子供が欲しがるように」すればいいと思いがちですが、実際にはそうではありません。
購入するのは親であり、現実には子供が欲しいと言う商品の中から、親が選んでいます。
つまり、実は親が子供に買い与えるおもちゃやゲームは、実は「親のニーズ」を満たす必要があるのです。
実例を挙げればもっとイメージがはっきりすると思いますが、それはまた今度。
昨日は、ぷよぷよのゲームデザイナーとして有名な米光一成さんと対談をさせて頂きました。
いや、本当に面白かったです。WEBの記事として「ガジェット通信」と「エキサイトレビュー」にて後日掲載予定です。
お楽しみに。
→掲載されました。詳しくはこちら。
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この記事の所要時間: 約 4分18秒 Tweet ゲームソフトが発売日に売れる不思議、というお話をしましたが、一般の方には不思議には感じない方もおられると思います。 過去エントリー:ゲームソフトが発売日に一番売れる不思議 […]
[続きを読む]ゲームソフトが発売日に売れる不思議、というお話をしましたが、一般の方には不思議には感じない方もおられると思います。
すごく期待しているゲームなんだから、早く購入して、早く遊びたい。
あるいは、皆と一緒に遊びたい。
だから発売日に並んででも購入したい。
でも、前提になっているのは、その期待しているゲームソフトが購入すれば期待通りか期待以上の満足を与えてくれるという会社やブランドに対する「信頼」なのです。
今PSPのモンスターハンターポータブル3rdが爆発的に売れています。もちろん発売日には行列ができ、今でも品薄状態が続いています。
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それは、モンスターハンターポータブルのこれまでのシリーズが、最初の製品からずっと信頼を裏切らない、期待通りか期待以上の満足を与えてくれたからではないでしょうか。
ですから、その最新作は、きっと今まで以上の満足を与えてくれるに違いない、と思って発売すぐに購入したい、と思うのではないでしょうか。
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もっと言えば、PlayStation 2 向けに発売されたオリジナルのモンスターハンターという商品が全然ダメな商品だったら、今のこのモンスターハンターポータブル3rdのヒットはない訳です。
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PlayStation 2 向けのモンスターハンターが発売されたのは2004年3月。開発が始まったのがその2年前だと仮に考えるとかれこれ8年位かけて積み上げてきたものが、今の「売れている」という結果に結びついているのだと僕は考えます。
(参考)Wikipedia によるとオリジナルのPlayStation 2版のモンスターハンターは29万本の売り上げだったそうです。
経営者やプロデューサーが信頼を積み重ねる必要がある、という話を過去のエントリーでしましたが、今ゲームソフトをお客様が発売日に買うというのは、過去に積み重ねた「信頼」によるものなのです。
過去エントリー:商売で本当に大事なのは「売上・利益」より「信頼」
今、50万本、100万本、200万本も売れている商品の殆どは過去5年、10年、いやそれ以上積み重ねてきた「信頼」の元にお客様が購入しているのではないでしょうか。あのシリーズ物も、あの世界的に有名なキャラのゲームも、まさに積み重ねてきた会社やブランドへの信頼がなければ購入していただけないのです。
別の見方をすると、今売り上げがあがらないという要因は5年、10年前から段々信頼を失ってきた結果ではないか、という見方もできるのではないかと思っています(もちろん、それだけではないのは十分理解していますが)。
信頼は、残念ながら一朝一夕には積み上がるものではありません。
目先の利益にとらわれて、信頼を失っていく事が、どれだけ将来の自分たちの首を絞める事なのかを経営者やプロデューサーは肝に銘じる必要があるのではないでしょうか。
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この記事の所要時間: 約 1分35秒 Tweet 多分、僕がまだナムコの業務用ゲーム機開発のプログラマーだった頃(10年以上前)の事です。 ある時、今まで「常識」と思っていた事に大きな疑問を感じました。 何故家庭用ゲーム […]
[続きを読む]多分、僕がまだナムコの業務用ゲーム機開発のプログラマーだった頃(10年以上前)の事です。
ある時、今まで「常識」と思っていた事に大きな疑問を感じました。
何故家庭用ゲームソフトは発売日、あるいは発売された週に一番売れるのだろうか?と。
考えてみたら、不思議なのです(当時の自分にとっては)。
発売日にゲームソフトを買う人は皆、そのゲームを遊んでから買うわけではなく、買ってから遊ぶわけです。
発売日に何十万本と売れるソフトも、皆、遊んで面白さを確かめてから買うわけではないと。発売日に買う訳ですから、誰か遊んだ人の話を聞いて買う訳ではない。
しかも、ゲームセンターのゲームなら100円や200円で遊んでみる事ができるのに、家庭用のゲームは5000円、いやもっと値段がするわけです。
でも、発売日に一番売れる。
つまり、お客様は「遊んで面白いゲームソフトだから買う」のではないのです。
遊んでなくても、買う前に、何千円もお金を出してもいい、面白そう、あるいはきっと面白いに違いない、と想像して、期待して購入しているのです。
その結果、期待通り、期待以上の事もあれば、裏切られて「なんだこのクソゲー!」と思ってしまう事もあります。
ゲーム開発者はがゲームの開発にどっぷり浸かっていると「面白いゲームソフトを作れば売れる」と思い込みがちです。
でも「ゲームソフトが発売日に一番売れる」という事は、違う見方をしなければいけない事を示しています。
僕自身も、10年前までは「面白いゲームソフトを作れば売れる」と思い込んでました。今は、そうではない事を理解しています。
お客様の目から見れば当たり前の事ですが、ゲーム開発の現場で長く働き始めると「ゲームが面白ければ売れる」という勘違いをしてしまうのです。
この話はちょっと奥深いので、何度か事例なども出して違う角度からお話できればと思います。
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この記事の所要時間: 約 1分19秒 Tweet これはゲーム業界に限らずですが、自分たちの会社の製品が売れないのは「市場が縮小しているため…」という事を理由にする事があります。 正直な所、僕は、それはたちが […]
[続きを読む]これはゲーム業界に限らずですが、自分たちの会社の製品が売れないのは「市場が縮小しているため…」という事を理由にする事があります。
正直な所、僕は、それはたちが悪い言い訳だと思います。
「市場のせいにする」という事は、いいかえれば「買わないお客様が悪い」と言っているのと同じです。
すごく不景気であっても「売れているものは売れている」のです。
そもそも、業界で大手といわれる企業であるなら、その市場の縮小は、自分たちが本当にお客様が求める商品、新しく市場を開拓する商品を出せなかった事が招いているのではないかと考えるべきではないかと思うのです。
「市場が悪かったから商品が売れなかった」のではなく「我々がよい商品を出せなかったから市場が冷え込んだ」というのが本当の因果関係だと思うのです。
小売店の方が嫌みを込めて開発の事を上流と言う、という話をしましたが、パッケージゲームソフトにおいては特にパブリッシャー、メーカーはその市場が活性化するかしないかの鍵を握っています。
商売に大事なのは謙虚な姿勢だと思います。
失敗は仕方ないとしても、何故失敗したのか、何故お客様に買っていただけなかったのかを謙虚に受け止めて理由をしっかり理解する必要があります。
売れなかった理由の殆どは自分たちに原因があるはずなのです。
商品が売れないのは市場のせい、と思う前に、本当にお客様の事を理解して商品開発をしているか、について今一度問い直してみるべきであると思います。
(参考) 過去エントリー:ゲーム開発が「上流」と嫌みを込めて言われる訳
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この記事の所要時間: 約 1分34秒 Tweet ゲームに限らず、あるプロジェクトが成功するかしないか、は実のところ始める前に大方決まってしまっています。 と言われると多くの人は違和感を覚えるかもしれません。 正確に言え […]
[続きを読む]ゲームに限らず、あるプロジェクトが成功するかしないか、は実のところ始める前に大方決まってしまっています。
と言われると多くの人は違和感を覚えるかもしれません。
正確に言えば、成功するかはやってみなければ分からない要素があるけれども、失敗するほうは、企画がダメな時点で、その後の努力に関わらずほぼ確実に失敗してしまうのです。
水を求めるために水脈を掘り当てるプロジェクトを考えてみます。
水脈がない場所を、いくら掘っても、求める水は出てきません。
どれだけのお金、人、時間をかけても、出ない場所からは水は出ません。
どれだけ高度な掘削技術があろうと、効率的に掘ろうと、ない場所を掘るのには意味がないのです。
商品開発でいえば、水脈の大切な一つは「お客様のニーズ」です。
お客様のニーズがない所に向けて、どんなにお金、人、時間をかけて商品やサービスを作っても、意味がありません。
関わった人は疲弊し、かけたお金は無駄になります。
もちろん、お客様が喜ぶ事もありません。
商品やサービスが成功するかどうかは、別に様々な要素が絡んできます。
以前のエントリー(*)でお話しした「戦略」もその一つです。
場合によれば成功を左右するのは「時の運」、という事もあります。
ですが、もし、水脈(お客様のニーズ)がない事が分かる目利きの能力があれば、少なくとも最初からわかりきった失敗は避ける事ができます。
プロデューサーの役割の一つは、この目利きにあると思います。
スタートする前に、企画の段階で水脈をあてる事ができるか(あてる可能性が高いか)を判断できる能力です。
その目利き力があるかないかで、組織を発展させる事も出来れば、簡単につぶしてしまう事も出来ます。
その意味でプロデューサーの責任は大きいのです。
(*) (参考) 過去エントリー:戦略の発想がなければモノは売れない
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[続きを読む]ゲームを作る側の人間としては、実のところ世間のゲームの情報から意識的に遠ざかろうとしても、本当にゲームの事を知らない人の立場になるのは大変に難しいです。
であるなら、ゲームを本当に知らない人、ゲームを全然遊ばない人をよく観察する事でその人達の気持ちを理解する努力も別に必要になります。
そんな人を観察する機会はないな…と思うかもしれません。
でも、身近にいるよく知る一人、を想像してみるという手があります。
例えば…あなたの母親はどうでしょうか。
自分が作ったゲームがあったとして、それが動く家庭用ゲーム機をソフトと一緒に実家に送ったとしましょう。
でも…あなたの実家の母親はゲーム機の箱を開けて、そのゲーム機をテレビに繋ぐ所まで行けるでしょうか。
多分、僕の母は無理だと思います。実家にいるときは、家電製品が来たら、設置と設定は全部僕の仕事でした。
女性の年配の方は特に、機械に弱い方が多いものです。ゲーム機の取扱説明書を読めば… って事はいいませんよね?
仮に機械には多少詳しい父親に手伝ってもらって接続する事が出来たとして….あなたのそのゲームは、両親に説明なく楽しんでもらえるでしょうか。
いや、中村さん、僕の作っているゲームはターゲットが違うので無理ですよ、と思うかもしれません。
でも、今のような思考をして、あの人だったら…と考えればゲームを知らない人の気持ちが少しは分かるかもしれませんね。
そう考えると、身近にもゲームをまったく遊ばなそうな人がいませんか?
その人だったら…と考えてみたら、どうでしょうか。
ちなみに、僕は妻を観察する事で「ゲームを知らない人」の一つの反応を確かめる事を頻繁にしています。理由を聞けるのもメリットです。
以前にお話したパッケージのエピソードもその一つです。
(参考) 過去エントリー:お客様は何も知らないという前提で考える
そういえば、任天堂の宮本さんもGDC2007の基調講演で、「奥様メーター」という話をしていました。僕と同じで(笑)奥様がバロメーターになっているようです。
Game Watch 任天堂の宮本茂氏による基調講演 “A Creative Vision”
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070309/miya.htm
ぼんやりと「お客様」というイメージを持つよりも、身近にいる「あの人」と考える事で自分とは違う視点で物事を見ることができるような気がします。
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