最近の傾向として、家庭用ゲーム機向けのゲームを開発する人が、日本でも海外でもゲーム専門サイトやゲーム専門誌のレビューの点数を非常に気にする傾向にあるように思います。
特に海外ではそれらのサイトのレビュー点数をさらにまとめてスコアにした「メタスコア」というものがあり、売れ行きに大きく影響すると言われています。
メタスコアを出しているmetacriticのページへ
そもそも、お客様にとって何故これらのスコアが大事なのでしょうか。
家庭用ゲーム機向けのゲームソフトは非常に価格が高く、ほいほいと簡単に買えるものではありません。同時に、そういう金額を払って遊ぶ時間もそれなりに長いものになるので、自分にとって外れのつまらないゲームを購入するという事は「お金」も「遊ぶ時間」も無駄になるという事なのです。
おまけに、毎週ものすごい数のゲームが出ています。年間で1000本、週の平均で20本以上。多い時は一週間に50本もの家庭用ゲームソフトが発売されます。
家庭用ゲームソフトで、レビューやレビューの点数がお客様にとってある一定の意味を持つのは、いってみれば「間違ってつまらないソフトを買ってしまうリスクを回避する」という意味がある訳です。
しかし、僕自身は、開発者が本当にこれらのレビュースコアを気にして開発をすべきなのか、は疑問に感じるべきだと考えています。
レビューをして点数を付けるプロのレビュアーは確実に多くのゲームをプレイしています。確かに多くのゲームをプレイしている人は、多くのゲームの違いは分かると思います。しかしゲームを普段殆ど遊ばない人、あるいはあるゲームソフトの「本来遊んで欲しい人」と同質の人とは限らない事に注意をする必要があります。
例えば、「遊ぶのは小学生の女児、購入するのは親」、という事を狙って作ったゲームソフトをプロのレビュアー(FPSや他のハードなソフトを無理なく遊べる大人)がレビューしたスコアは本当に他のソフトのスコアと同等に扱って良いか、という問題がある訳です。
ちょっと視点を変えると、「レビューのスコアが高い」事を狙って作ったゲームソフトはレビュアーという特殊な、様々なゲームをやり込んだ人が満足する、というゲームになってしまわないか、という懸念があるのではないかと思うのです。
勘違いしないで欲しいのですが、特に沢山のゲームの中からどれを買ったらよいのかと考えているお客様にとって、これらのレビューは特にゲームソフトが高価で外れたら痛い、という今の状況では無くてはならないものです。特に発売直後の中古でソフトが買えないような状況では特にです。
ただ、ゲーム商品の開発者が「レビュースコアが高い」ゲームソフト開発をする事を狙う、第一の目標とする事が「売れるソフトになる」という所には直結しないし、疑問を感じたほうがよい、という事をあえて伝えておきたいと思います。
ちゃんと見ていれば分かりますが、レビュースコアが非常に高いのにまったく売れない例や、逆にスコアがちっとも高くないのに、売れている商品があるのです。
レビューの点数を付けているのは「どんな人なのか」を認識した上で、商品を開発する時には「誰にとって」が大変に重要な事を再認識するべきなのでしょうか。
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コメント(3): ゲーム専門のレビューを開発者は気にするべきなのか?
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メタスコアの点数はPS3やXbox360向けのハードコアゲーマー向けタイトルには相関関係がみられますが、Wiiやkinectなどのカジュアルゲーマー向けタイトルでは、そうとも限らないといわれています。メタスコアが評価されるのは、それだけ欧米(特にアメリカ)のコアゲーム市場に活気があるということなのでしょう。
逆にみんながそこ(コアゲーマー)を気にして、ゲームを遊ぶ人が一向に増えないという状況に危機感を感じますね。日本は、結局ファミコン、スーファミ、PS、PS2と購入してきた一番コアだった層が結婚して、子供ができて離れちゃった訳ですから…(WiiやDSでちょっと戻ったというのはあると思います)。向こうのコアゲーマーは結婚しないのか、結婚してもゲームを続けるんですかね?
お客様が年を取る、という話は別にブログネタにします。
そこは、もっと検証がひつようなところで、「結婚したらゲームを卒業する」「結婚してもゲームを卒業しない」という2つの層があり、少なくとも日本より後者の割合が高そうです。ドイツのゲームズコン(TGSみたいなもの)では、じいちゃん、父ちゃん、子供の3世代が一緒に来場して、じいちゃんはチェスなどのカジュアルゲーム、父ちゃんはFPS、子供はポケモンのブースに分かれて楽しむ、などの光景も見ます。あとは家族で音楽ゲームを遊んだり・・・。HaloやCoDの市場別ユーザーの年齢分布と既婚率のデータ、パブリッシャなら持ってるんじゃないでしょうか・・・。日本人は大の大人が通勤電車で漫画を読みますが、向こうは大の大人がゲームを卒業しない(ようにみえる)のがおもしろいところです。