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結構昔のエピソードですが、共有したいので書きますね。


GBA版のもじぴったんが発売された数ヶ月後に、たまたま、社内の女性数名と食事をする機会がありました。

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話題が(僕がいたこともあって)もじぴったんの話題になりました。

その場にいた女性全員がGBA版のもじぴったんを持っていて、早速こうして欲しい、ここが不満、みたいな話になるわけです(まぁ、僕が開発者で特に当時はディレクター&プロデューサーでしたからありがちですね)。

全員一番不満を持っていたのが「沢山ある文字の下のほうを選ぶのが時間がかかる、面倒」という事でした。

正直僕は「あれ?」と思ったのです。

GBAの場合、L,Rボタンを押すといわゆる文字の「早送り(ページ送り)」が出来るようにしていました。

取扱説明書にももちろんその事は書いてあります。

だけど、その場にいた全員はその仕様を知りませんでした

で、僕が教えて「こうするんですよ」と言ったら、全員驚いていました。

みんな、発売から時間がたって結構もじぴったんをやりこんだ後だったのにも関わらず

他にも皆が口を揃えてクリアできない、といっていたタイム制限のきついステージは、実はその早送りを活用しないとクリアが難しいステージでした。

そのメンバーに聞いてみたら、全員、取扱説明書は一度も読んでいなかった事がわかりました


その時は3人でしたので、後日、もじぴったんをやっている人を社内や社外で見つけたら、説明書を読んだか、という話を聞くようにしました。

結果、殆どの人が一度も読んでいませんでした。そして同様に製品では既に解決してあるはずの問題に皆不満を持っていました。

後に、PSP版では、チュートリアルプレイにその早送り操作が分かる仕様を別途入れました。


お客様は「購入したらすぐにでも遊びたい」という気持ちを持っており、多くの人は説明書を読まずにゲームを始める事が分かりました。

他のゲームでも読まない、という人が大半でした。多かったのは分からなくなったら、読む、というパターン。

特にもじぴったんのようなシンプルなゲームは、見なくても分かる、と思いこまれてしまう事が後に分かりました。

よって、不満に感じるであろう事を製品では実装して解決していて、説明書に書いてあるにも関わらず、お客様は分からないまま不満を残してしまう事があるのです。

作る側から言うと、手間的問題、コスト的問題、色々あって何かの問題がある事を解決する仕様や操作を「取扱説明書に書いてあるから大丈夫」としがちなのですが、それでは効果がないばかりか、せっかく知っていれば不満を感じない事を「できが悪い」とお客様は思い込んでしまいます。

お客様は説明書は読まない、という前提のモノ作りが僕は(実はゲームに限らず)必要だと思っています。

(ちなみに、単純にオンラインマニュアルにしても、見ないのは変わらないですよ。むしろ読みにくいので、見ない可能性があがるかもしれません(仮説))

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