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ガンバリオンの企業のビジョンは「永く愛されるゲームを作る」という事。
実は僕が「もじぴったん」に取りかかる前から、自分はどんな商品を作りたいのか、という事を考えて10年以上前にたどり着いたのが「永く愛されるゲームを作る」という事でした。
当時、家庭用のゲームソフトというのは、発売から1ヶ月もしたら宣伝も何もしない、3ヶ月たったら店頭からなくなっている、というのが殆ど常識でした。僕自身は、その常識にものすごい違和感を感じていたわけです。
もじぴったん開発当時インタビューを受けたりした時に、僕が必ず永く愛される商品の例に出していたのは「人生ゲーム」でした。
「人生ゲーム」は、どんな小さい街のおもちゃ屋さんにも必ず置いてあるし、発売から何十年たっても売っているわけです。小さい頃に遊んだと思っていたのに、大人になったら今度は子供と一緒に遊べる。
おもちゃの世界では普通なのに、ゲームの世界では普通ではない。
僕はそんな「永く愛されるゲーム」が作れないのだろうか、と思っていました。
「もじぴったん」を作り始めた時、10年後にも遊ばれているというイメージがはっきり沸いたのを覚えています。
僕は少なくとも10年は愛される商品にしたい、とそう強く思いました。
ガンバリオンさんでのゲームを開発する姿勢は、驚くほど僕がとったアプローチと近いものでした。
そして、実際にお店で定番商品となり、永く売れ続ける、そして永く愛されるゲーム作りに成功されていると感じました。
社長の山倉さんは、元々はゲームショップの店長をしていたそうです。
僕は、ああ、なるほど、と思いました。
お客様に近い所にいてゲームを見ていた事。お店の本当に必要にしている商品、つまり定番商品=「永く愛されるゲーム」を開発すべきであること。そのために必要な条件がいくつもあることを知っている事。
お話していて、共感できて、少し時間を忘れて遅くまでお話しました。
楽しかったのもあるし、とても印象深い時間を過ごせました。
もし、今新しいゲームを作っているとして、「10年後も変わらず、もしくは今以上に愛される商品になっているか」という問いは、多分意識しなければしないと思います。でも、一度問い直す価値のある自分たちへの質問であると僕は思っています。
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今までいくつかのプロジェクトに関わってきて、うまく行った(単に売上げがあがったとかだけではなく)プロジェクトとそうでないプロジェクトの違いとなっている一つの要因は、プロジェクトに関わる人がそのプロジェクトの「目的」をしっかり共有しているか、という所が一つの違いになっていると感じています。
あえて、「目標」とは言っていないのは、往々にしてプロジェクト半ばで状況や環境が変わって「目標」は修正をするべき必要が出てくる事が多いからです。
商品開発プロジェクトでの目的は、実は商品を完成させる事ではありません。
(多くの商品開発プロジェクトは、ここで間違いを犯しています)
商品開発プロジェクトで目的にすべきは、商品そのものではなく、その商品開発の目的である、どんなお客様に、どんないい事をもたらすかという事です。そしてそれがしっかりと目的として共有されている必要があると考えています。
でないと、商品の開発が色んな理由、例えば技術的、人員的、その他で暗礁に乗り上げてしまった時に、皆で打開策を打ち出す事が難しくなってしまうのです。
目的が「お客様にどんないい事をもたらすか」という形で認識が出来ていれば、場合によっては商品開発の方向性を変えてもいい、やり直してもかまわない、あるいは、目的から考えれば、当初考えていたのとは違うアイデアで実現をすればよい、という発想ができるようになります。
仕事で何かつまづいた時、問題にぶちあたった時は「そもそも今やろうとしている事の目的はなんだろうか」を考えてみる癖をつけるのがよいです。単に目の前で起こっている問題を対処療法的につぶそうとすると、商品開発であれば、ちぐはぐな仕様などを生み出しがちです。
そのためには「何故今これをやる必要があるのか」「そもそもの目的は何か」「プロジェクトの目的と矛盾しないか」等を常に考えて手段と目的の関係を常に頭の中で組み立てて考えておき、問題がある手段が出てきたら、目的に立ち返って違う手段で解決できないかを考えるという思考パターンを身につけておくのがよいと思います。
プロデューサーとしては、その意味でプロジェクトの大義=プロジェクトの目的、をしっかりと皆に共有してもらう事が一つの大きな仕事となります。
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この記事の所要時間: 約 2分42秒 Tweet ゲーム開発において、説明しなくても理解できて楽しめるゲームを作るためには、一つはある程度インタフェース設計やゲームデザインの文法というものを知っている必要がありますが、そ […]
[続きを読む]ゲーム開発において、説明しなくても理解できて楽しめるゲームを作るためには、一つはある程度インタフェース設計やゲームデザインの文法というものを知っている必要がありますが、それがあっても、特に新しいゲームを作った時には作った側の「常識」が邪魔をして、何も知らない人がプレイすると理解できなかったり、諦めてしまったりしてしまう設計になってしまう事があります。
それを防ぐためにはいわゆるテストプレイというのが必要です。
開発している人とは関係なく、予備知識がない人(もちろん、できれば商品を遊んでもらいたい人に近い人が望ましい)を連れてきて、少なくとも10人程度には試しに遊んでもらうのだけれど、いくつかのポイントがあります。
○ 事前にも、テストプレイ中にも絶対に説明をしない。
開発者がセッティングして、テストプレイをさせると、開発者は「ちゃんと遊んで欲しい」という気持ちが働くので、事前にゲームのルールや操作の説明をしてしまいがちです。
さらに言うと、テストプレイをしている人が何かでうまくいかないのを見ると、思わず次の操作を教えたり、どうすればクリアできるか、を教えてしまったりします。
しかし、これは「絶対に」やってはいけません。
あくまで肩越しに、プレイしている様子を観察するのです。詰まって諦めたら、それを事実として観察しておきます。
大事なのは、何故そうなったか、を考えると同時に、テストプレイヤーがどう行動しているか、をよく見ておく事です。
○ 行動を細かく観察する。
テストプレイヤーは、あるシーンでは、本来は反応しない所を連打したりしてしまうかもしれません。こちらが想定していない操作をするかもしれません。実は、それは開発をする上で非常に重要なヒントになります。
つまり、そういう行動をした、というのはそのシーンでテストプレイヤーは何かをしたかった訳です。
例えば、デモシーンで連打をしていたら、そこは早く飛ばしたいという現れかもしれません。
本来反応しない所を連打していたら、そこを押す事に何かを期待していた現れのはずなのです。
自然なインタフェースを実現するには、テストプレイヤーが自然にしている事、をよく見ておく必要があります。
○ 終わった後に説明をしない
終わった後、アンケート、もしくはヒアリングをします。
行動は観察できますが、テストプレイヤーが感じていた感覚は分からない事が多いですから、それを中心に聴きます。
ここでも重要なのは、例えばテストプレイヤーが勘違いをしていたりしてうまくいかなかった事を話していたとしても、その勘違いを訂正するような説明を絶対にしない事です。とにかく「聴く」事に徹します。
また、ここが分からなかった、と言われても「そこはこうなってるんですよ」みたいな説明は絶対にしないで下さい。
説明をした瞬間に本来聴けるはずの勘違いの実態がそれ以上聴けなくなってしまいます。
「もじぴったん」プロジェクトでは、開発時にこのテストプレイを非常に重視して、時間も手間もかけていました。
立命館のサイトウさんの講義では、もじぴったんDSでの事例を実機を使って説明したのですが、近いうちに動画でその講義の一部をこのブログでお見せできればいいなと思っています。
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