遊びをパクリエイト?していたナムコ

On 2011年8月25日, in ブログ, by nakamura

この記事の所要時間: 約 2分37秒 Tweet ナムコで僕がまだ業務用の部署にいた時(10年近く前?)に、外部から技術の持ち込みプレゼンがあった事があって、当時のナムコの業務用の事業部長に、技術の事が分かって企画の事も […]

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この記事の所要時間: 237

ナムコで僕がまだ業務用の部署にいた時(10年近く前?)に、外部から技術の持ち込みプレゼンがあった事があって、当時のナムコの業務用の事業部長に、技術の事が分かって企画の事も分かりそうだという事で僕が呼ばれて、一緒にその持ち込みプレゼンを見た事がありました。

その技術は(詳細はお話できませんが)今までだと手作業でしか実現できない事を殆ど作業なしでできる、というものでした。

プレゼンが終了した時に、当時の事業部長が僕に「あの技術を使えばA社(ライバル社)のB(当時それなりにヒットしていた商品)を安価に作れるから、それを企画にしないか」と言いました。正直な所、僕は一瞬えっ?と思って、「それじゃパクリじゃないですか」と言った事があります。

その時の返答は「インベーダーがなければギャラクシアンはなかった。ヘッドオン(セガの迷路を車が走ってドットを全部取るゲーム)がなければパックマンはなかった。スクランブル(コナミの横スクロールシューティング、対空と対地で別の攻撃ができる)がなければゼビウスはなかった。パクリとは何かの意味がわかってないよ。」と。

確かにそれはそうだけれども、と言われた当時は思っていました。ナムコという会社は「オリジナルである事」にこだわりがある筈で、ビデオゲーム事業でこんな経験もある偉い人が何をいってるんだ、と。


しかし、後に僕自身がプロデューサーになって過去製品の成功例、失敗例を分析していくうちに、ナムコには、ある先発商品をヒントにヒット商品を生み出している例が数多い事に気がついた訳です。

「ドラクエ」がなければ「テイルズ」もなかった。「ビートマニア」がなければ「太鼓の達人」はなかった。「バーチャファイター」がなければ「鉄拳」「ソウルキャリバー(シリーズ)」もなかった。「もじぴったん」だって「テトリス」と「ぷよぷよ」「クロスワード」がなければ商品になったかどうかも怪しい所だと思います。

以前、ジェームス・W・ヤングの「アイデアの作り方」の紹介の際に、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」という事が書かれている事を紹介しました。

過去記事:多分世界で一番有名なアイデアの本

今挙げたナムコの商品は、皆「単なるパクリ商品」(多くの人はいいイメージを持たない、○社版の[XXXX]と誰もが言えてしまうような商品)というのとは「何かが違う」のです。確かに先発商品をヒントにはしているけれど、単なるパクリとは言わせない何かがある訳です。

その「単なるパクリ」とそうでないものの差は何か。お客様には別の商品として受け入れられヒットする商品と、そうでないものの差は何か。今はその差の本質が何なのかははっきり分かります。

残念ながら「その差の本質」をブログの記事程度で伝えていくのは断片的な形になってしまい難しいので、中村が行っていく講演や研修、執筆活動の中でお伝えして行ければと思っています。

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ハイテクよりハイタッチ

On 2011年5月23日, in ブログ, by nakamura
High-five!

この記事の所要時間: 約 1分28秒 Tweet 「ハイテクよりハイタッチ」という言葉は、僕がナムコに入社してから何度となく聞いた言葉です。 中村雅哉氏がよく好んで使っていたように思いますし、記憶に違いがなければナムコ手 […]

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この記事の所要時間: 128

「ハイテクよりハイタッチ」という言葉は、僕がナムコに入社してから何度となく聞いた言葉です。

High-five!

中村雅哉氏がよく好んで使っていたように思いますし、記憶に違いがなければナムコ手帳という入社したら毎年手渡される社員手帳にもこの言葉はあった気がします。

#間違ってたら誰か指摘してください(笑)

ナムコがゲーム産業の雄として高成長を続けていた時、ナムコは「ハイテク=高度な技術」の会社として語られる事も多かったのです。確かにリアルタイムの3D技術なども含めて「先端的」だったのですが、あえて、それがナムコという会社の本質でない、という事を中村雅哉氏が伝えるために「ハイテクよりハイタッチ」という言葉を使っていたのではないかと思います。

「ハイテクよりハイタッチ」の意味は、かみ砕いて言うと「高度な技術はあくまで手段であり、その技術は「人に優しく」活かされないといけない」という事なのかと理解しています。

もっと簡潔に言い換えれば言えば「人に優しくするのが技術として追求すべき本質」という事でしょうか。

 

僕自身ゲーム作りを通じて、「ハイテクよりハイタッチ」は常に心にとどめておくべき言葉だと実感しています。

そして、今後のコンピューターや技術のあり方を考えた時、全く古くさい言葉ではなく、むしろ、iPhoneやiPad等が受け入れられている今、現実にそのような商品こそが求められており、これからも「ハイタッチ」が求められるのではないかと信じています。

 

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ゲーム「メーカー」でなくサービス業と心得る

On 2011年5月20日, in ブログ, by nakamura
Namco booth

この記事の所要時間: 約 1分31秒 Tweet ナムコが上場した時の話を在職中に社内の方から聞いた事があります。 企業が上場する際、「製造業」「サービス業」「金融業」等の業種のどこかに属する訳ですが、ナムコが上場した際 […]

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この記事の所要時間: 131

ナムコが上場した時の話を在職中に社内の方から聞いた事があります。

Namco booth

企業が上場する際、「製造業」「サービス業」「金融業」等の業種のどこかに属する訳ですが、ナムコが上場した際、当時の社長の中村 雅哉氏(現バンダイナムコゲームス 名誉相談役)は「製造業」ではなく「その他サービス業」として上場した事に、大変に喜んだ、という話を聞きました。

ゲームを制作して販売している会社の人は自分たちのことを「メーカー(製造業)」だと思いがちです。

でも、僕自身の考えとしては、実はゲームを作っているのではなく、もちろんお皿(ディスク)を作っているのでなく、ましてデータを作っているのではなく、お客様の生活の中の楽しさ、おもてなしを提供している「サービス業」という自覚を持つ必要があるのではないかと思います。

特にパッケージゲームソフトはお客様から遠く、直接接客をしている訳ではないので「サービス業である」という発想は生まれにくいのかと思いますが、本来コンピューターとメディア(媒体)を通じて提供するべきものは、心遣いであり、おもてなし(=エンタテインメント)なのではないでしょうか。

関連記事:ゲーム開発が嫌みを込めて「上流」と言われる理由

今あるゲーム商品は、確かにお客さまとは距離があり、間接的にしか「おもてなし」を提供できていないかもしれません。

しかし、僕らが働く目的は「ゲーム」作りではなく、お客様に生活の中の楽しさ、喜びを提供するという事、と考えるべきで、間接的であり、距離があるからこそ、より強くその意識を持つべきなのだと思っています。

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