前回のエントリーで、アーケードゲーム(ゲームセンター等に置かれるゲーム機)開発の良さについて、お客様が自分達の商品で遊ぶところを企画開発する人が直接見ることができる事を挙げました。
過去エントリー:アーケードゲーム開発の良さ(1)
それによって、商品を生み出す人のモチベーションが高くなる事が一つの良さだと思います。
もう一つ、今こそアーケードゲームの開発の文化の良さを見直すべきと考える理由があります。
それについて少し説明しましょう。
アーケードゲームがヒットする条件の基本は下記のような事です。
- 見ているだけで、最初に100円をお客様が入れたくなる事。
- 一度遊んだら、また100円をお客様が入れたくなる事。
- 日を変えてもまた繰り返し遊びたい、と思わせる事。
100円で1ゲーム、というコインオペレーションの場合、おおよそ目安があって、100円1プレイ、およそ3分が適当とされていました。
長く遊べたほうが満足してもらえるかもしれませんが、ゲーム機の元を取るためには3分程度でもう一度100円を入れてプレイしてもらうというスタイルです。
この事がゲームデザインに大きな影響を与えています。
「お客様は理解できないものは買わない」というエントリーを書きましたが、最初にお客様に100円を入れてもらうためには「理解」してもらわないとダメなので、複雑でない、ルールや遊び方はすぐに理解できる事が求められました。
過去エントリー:お客さまは理解できないものは買わない
何をするゲームなのか、どういうルールなのか、どう操作すればよいのかは、100円を入れる前に理解できる必要性がありました。
同時に、プレイを始めたら、1分で面白さが分かり、3分程度でゲームが終わる頃にはもう100円を入れたくなっている、という事が求められます。
しかも、遊ぶたびに新しい発見があり、またやりたい、と思わせる必要がありました。
多くの人に遊んでもらい、なおかつ何度も遊んでもらうという事が基本です。
結果的に、シンプルで分かりやすく、すぐに面白さが伝わる上に、何度も遊びたくなる奥深さ、がゲームデザインの中心となるようになっていました。
そんなのは昔の話でしょ、と思うかもしれません。
しかし、今は例えばiPhoneのアプリのゲーム等で求められている事は同じ条件ではないかと思うわけです。
シンプルで分かりやすく、すぐに面白さが伝わる上に、何度も遊びたくなる奥深さ。
無料や100円程度のゲームがあふれている状態では、この条件を満たす事は非常に大事です。
ルールや遊び方を理解するだけで何十分もかかっていては、仮にそれを覚えればものすごく面白かったとしても、多くの人はその前に遊ぶのを止めてしまいます。
無料のゲームがあふれている現状では、最初1分触った時点で「容量の無駄」と思い、パッと削除、そして二度と遊ばない、という事が普通になります。
家庭用ゲームの場合、アーケードとは遊ぶ時間が違うのだから、同じ事は要求されていない、と思うかもしれません。
確かに重みは多少違うかもしれませんが、僕自身は「もじぴったん」の経験からも、シンプルで奥深い、すぐに楽しさが伝わる事がヒットの要因の一つになると思っています。(詳しい話はいつか別のエントリーでするつもりです)
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