店頭観察はやる気さえあればすぐにできる。ここで言う「店頭」は何も自分の業界の店だけに限らない。
自分が普段買い物するコンビニ、飲食店、スーパー、書店….
実の所、他の業界では当たり前なのに、自分の業界では当たり前ではなく誰もやっていないアイデアを見つける事は店頭観察における発見の中でも重要な事だ。
僕は書店が好きでよく書店に行く。
ある時、書籍の場合、小説でも実用書でも、キャッチコピーや有名人の推薦文等が書いてある「帯」がある事が常識なのに、ゲームのパッケージの表面にはタイトルロゴと絵以外は何も書いていない、という事に疑問を持った。
パッケージのゲームのほうが値段は高く、買わないと中身がわからない。比べて書籍は、立読みで中身が分かるにも関わらずだ。
その事がずっと引っ掛かっていたので、僕がプロデューサーになった時には、ゲームのパッケージにも帯をつけようと考えていた。
実際パッケージの制作の話になった際、紙の帯をつける事を検討したのだけれど、製造過程の問題でそれは無理、という事になった。
結局帯の代わりに印刷表面に白いスペースを確保して、デザインをお願いする事にした。
帯の部分には最初、ある方に推薦文を書いていただこうと思っていたのだが、諸事情により実現せず。困っていた時に、文章でなくイラストで魅力を伝えてはどうかという話になった。結果やくみつるさんに帯にゲームの推薦イラストを書いてもらう事になった。
結果PS2のパッケージはこんな感じになった。
裏話をすると、イラスト案としては、今思えばずっともじぴったんの魅力を伝える案が先にあったのだが、若気の至で、ダメだしをしてしまったのだ。やくみつるさんが試しに遊んでみたら思わず徹夜して原稿を落とす所だった、という話を聞いて感動して、そのハマリ具合を是非イラストに、とお願いした。
いや、もう恥ずかしい。
やくさん、ゴメンなさい。
その後、ウリにするキャッチコピーや、カテゴリ名をかなり長い時間をかけて練り直していたので、ベスト版発売時には以下のようなデザインになった。
やくさん、ゴメンなさい(再)。
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話がそれたけど、この例は書籍業界の常識をゲーム業界に持ち込んだものだ。
同じように他の業界で売上を伸ばすために普通に行われているアイデアを持ち込む事は出来ないかを考えながら店頭を観察するとよいと思う。
普段の買い物の時に意識すればいいだけの話ですしね。
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