この記事の所要時間: 約 1分50秒 Tweet ゲームを遊ばない人の気持ちを理解するためにゲームを遊ばないように努力したり、ゲーム専門誌を読まないようにした事で見えてきた事があります。 その一例を挙げようかと思います。 […]
[続きを読む]ゲームを遊ばない人の気持ちを理解するためにゲームを遊ばないように努力したり、ゲーム専門誌を読まないようにした事で見えてきた事があります。
その一例を挙げようかと思います。
ゲーム専門の雑誌以外のいわゆる一般誌と言われる雑誌にもゲームが紹介される事があります。
エンタメ系の雑誌の場合、その週の主立ったタイトルの紹介やランキングが掲載されるものもあります。
紹介されるタイトルは限られるし、紹介されても、そこに書ける情報はとても少ない情報です。
でも、それだけの情報でも少なくともお客様に「おっ」と思ってもらい、ゲームショップに足を運んでもらえないと(発行部数が多い)一般誌に載っても意味がありません。
どれくらいの量なのかを具体例でお見せします。
(参考)B.L.T 11月号関東版 ゲーム紹介のコーナーの一部
(参考)ぴあ 12/16 号 ゲーム紹介のコーナーの一部
1本のソフトあたり載せられる情報量は、画面写真1枚(もしくはパッケージ)+ほんの少しの文章のみです。(運が良ければもう少し情報を露出できるかもしれないけど….)
もし、あなたが今パッケージのゲームを開発しているなら、この情報量で、前知識がない人にも魅力に感じさせる自信があるでしょうか。お客様に時間と手間をかけてまでもお店に足を運ばせる事ができるでしょうか。
一般誌はゲーム専門誌と違って、次の号ではもう同じゲームは紹介されませんから、二度目のチャンスはないと思った方がよいですね。
ゲーム専門誌を読み続けていると、細かい仕様とか、色んなモードなどを入れていけば商品の魅力が上がると思いがちです。
しかし、買う前にお客様がそれを知らなければ、お客様にとっては何の価値もないのです。
ゲームの中身を作り込んで、こんなによく出来ているのに何故売れないのか、と思っている開発者もいるかもしれません。でも、そんな人にも、もっとお客様の視点に近づけば見えてくるものがあるんじゃないかと思っています。
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この記事の所要時間: 約 2分3秒 Tweet 正確にいつ頃からかは覚えていないのですが、僕がプロデューサーとして働くようになってからは、はっきり意識してゲームをプレイしないようにしていました。 会社にはゲームが溢れてい […]
[続きを読む]正確にいつ頃からかは覚えていないのですが、僕がプロデューサーとして働くようになってからは、はっきり意識してゲームをプレイしないようにしていました。
会社にはゲームが溢れていますから、遊ぼうと思えば会社でいくらでも遊べる訳です。
にもかかわらず、僕は会社でもあえて殆どのゲームをプレイする事はありませんでした。
同時にいわゆるゲーム専門誌も読まない事にしました。会社ではあちこちにあって読もうと思えば自由に読めるのにも関わらず、です。
ゲーム業界で働いている人なら、その行動には少し疑問を感じるかもしれません。
業界のトレンドや、他社がどんな技術を使ってどんな製品をだしているかは知っておくべき、というのが常識だからです。
しかし、僕自身はそういう環境だからこそ、あえてゲームを知らない人の立場を理解するために努力をする必要があると考えたのです。
同時にその行動が、実際に問題になる事は少ないと思いました。何故なら、周りで一緒に開発しているメンバーは、殆ど皆ゲームの事について詳しいからです。
あえて情報が溢れる中で、知らない人の立場をなるべく理解する事が、もじぴったんチームのリーダーとしての僕の役割だと思いました。
そうする事で、見えてくるものがあるわけです。
例えば、ゲームの事を知っていれば、人気のあった続編で宣伝を見ればなんだか理解できるのだけど、知らない人から見ると同じ宣伝を見てもそもそも何のゲームでどう面白いのかすら分からないということ。
そもそも、あるブランドのゲームが評価が高いとか高くないとか分かっていない事。何がいいのか知らない事。
大手のゲーム会社の開発の現場にいつつ、ゲームの情報を仕入れないようにするにはかなり努力が必要でしたが、結果的にはゲームを遊ばないようにする努力は正解だったと思っています。
もじぴったんが、ゲームを初めて遊ぶ人でもちゃんと遊べて、購入前になんとなくでもどんなゲームでどうよいのか理解できるようになっているのも、一つはその努力のおかげです。
業界の人全てに僕のマネをして欲しい、とは思いません。
ただ、皆がゲームの事について詳しいならば、ゲームを知らない事を生かしてチームに関わる役割の人が必要だと思います。
特に、今までゲームを遊んだことがない人に遊んで欲しい、喜んで欲しいと思うのなら、そのような役割の人は必要です。
ゲームを遊ばない事で見えてきた事、について明日もエントリーを書こうと思います。
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この記事の所要時間: 約 1分42秒 Tweet 今発売されているゲームを見ていると、多くのケースで「売れる」事を狙いに行って、結果的にパッとしない事になってしまっているように思います。 もちろん、入念な戦略があって売れ […]
[続きを読む]今発売されているゲームを見ていると、多くのケースで「売れる」事を狙いに行って、結果的にパッとしない事になってしまっているように思います。
もちろん、入念な戦略があって売れているものもあります。
「売れる」事を狙いに行くと、皆がよくやりがちな事は「売れているもの」のマネをする事です。しかし本質を理解しないと、単なる後追い商品になってしまいます。
でも、「売れる」事を目標にする事ではなく、あえて身近にある問題で、今ある手段では解決できない事をなんとかする方法を発明する、というのが実はヒット商品の近道かもしれません。
Dr.中松が発明したものの中に「灯油ポンプ」(Dr.中松は醤油用に発明した)がありますが、母親が漏斗で醤油を瓶に移し替えるのに苦労しているのをなんとか解決しようとして発明したものだそうです(当初の商品名は「醤油チュルチュル」)。
実用品だけではありません。
ポピュラーでロングセラーなテーブルゲーム「オセロ」。
発明した長谷川五郎さんは、中学生であった当時、終戦間もない焼け野原で「休み時間10分以内に決着のつくゲームはないか?」と囲碁を元に自分達のためにオセロを考案したそうです。
僕は身近な、生活の中の問題がこんなゲームがあれば、あるいはこんなゲームの技術で解決できないか、と常に考えています。
実は今売れているもの、は殆ど気にしていません。
それが「売れるモノ」を作る近道だと思っているからです。
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この記事の所要時間: 約 2分14秒 Tweet ある程度の規模以上の会社組織の中で、プロデューサーという立場で動いて行くと、実は仕事の壁の多くは社内にある事に気付きます。 前回のエントリーで似たような話を書きましたが、 […]
[続きを読む]ある程度の規模以上の会社組織の中で、プロデューサーという立場で動いて行くと、実は仕事の壁の多くは社内にある事に気付きます。
前回のエントリーで似たような話を書きましたが、これは僕がいた会社だけの話ではなく、リーダークラスで社内で色々な部署と一緒に仕事をすれば必ず色々な内部の壁に遭遇します。
そんな中、楽に仕事がしたいなら、一番いいのは「前例に従う」という事です。
一度やっていて、明らかに問題点がない場合は「前例に従う」のが一番通りやすい。既にそれが何度も行われていて常識的になっていれば特にそうなります。
しかし、プロデューサーとして、例えば現場観察をしたり、周辺環境が変わっていたりする場合、その常識的なやり方では効果を求められなかったり、むしろ問題だったりする場合に気付くはずです。何せ、今の世の中は変化が激しいのです。技術的進歩と関係が深いゲーム業界は特に。
常識通りに前例に従っていてはダメだ。別の手を打たねば。
そんな時に僕がどうしていたか。
まず最初のステップは、「その前例が一番最初に行われた理由を深く知る」という事。
古い会社だと、自分が入社する前からの慣習、だったりするので、詳しそうな人に相談して聞いてみる。
当時の背景と、その前例の最初が行われた理由を大前提として担当者よりも理解するようにする。
その上で、その背景と理由が今も変わらないか、についての「事実」を収集する。
もちろんよく自分でも検討して、前例が作られた背景が変わっている事、今まで通りにやると問題がある事を事実で示して、その解決のためには、前例はないがこうしたほうがよいのではないか、という提案をする。
もちろん、これだけでOKに簡単になる事なんて甘くないですけどね。
でも案外、社内には皆が常識的にやっているけど、その理由と背景は知らない事って沢山あるんです。
(中途採用の社員だったりすると、え??って思う事があって気付きやすいです)
基本的に、サラリーマンは皆失敗したいと思っていません。前例通りにやっていれば大きな失敗はしないけど、それを破ると失敗するのではないか、という心理が働くのです。
プロデューサーのお仕事の一つは、そういう担当者やセクションの責任者とうまく信頼関係を築いて、あえて「前例」にない次の「前例」を作る事ではないかと思います。
上手く行く事で、それが後の人には前例になり、他の同じ問題をかかえる人達の選択肢の一つになります。
あなたの会社の常識、一度本当の理由を考えたほうがいいかもしれません。
まぁ、「常識」って当たり前すぎて疑う事を普通の人はしないんですけどね。
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この記事の所要時間: 約 3分30秒 Tweet 僕がプロデューサーになった時は、元々開発しかやった事がなかったのでとにかくモノを売るとはどういう事かをゼロから学ばないといけませんでした。 もちろん最初は、社内で色んな方 […]
[続きを読む]僕がプロデューサーになった時は、元々開発しかやった事がなかったのでとにかくモノを売るとはどういう事かをゼロから学ばないといけませんでした。
もちろん最初は、社内で色んな方に聞きまくって、「常識的」なやり方を聞くわけですが、いわゆる「ゲリラ」をやらないとダメなことを覚悟していました。
単に「普通の」販売、販促、宣伝手法を知ってそれをやっても、当初の低予算では大きな効果を出す事は難しい事は分かっていたからです。
これはどんな会社でもそうかもしれませんが、そこそこうまくいっている組織では、そういった新しい、多少奇抜に思える販売手法のようなものに対して「保守的な力」が働きます。
今までと違うやり方でやりたい、と思っていても「前例がない」「これまでのやり方で問題ない」と返されて、社内の壁に阻まれる事があります。
なので、その時に僕がとった「作戦」の一つはライバル会社が何をやっているかを研究する事でした。
この時に一番の情報源になったのは、「店頭」でした。
当たり前の事ですが、店頭では他社の販促物ややろうとしている事が分かります。毎週店頭に行き、新製品のパッケージやPOP、プロモーションビデオ等をずっと観察していました。それに対するお客様の反応も見ていました。
そうすると、「自社はやっていないが他社はやっていて効果を上げていそう」な事を発見する事ができるのです。
その事を持ち帰って、「XXX社はこんな事をやっているが、うちでも出来ないか」という相談をする事によって実現する方法を模索したりしていました。
その一つが名刺型の販促物だったりします。名刺サイズの販促物がある所で配られているのを見て、目立ち具合は劣るけど「持ち帰りやすさ」はある、と思い、WEB体験版のアピールになるのではないか、と考えました。
残念ながらはっきり効果があったかは分かりませんが、後に体験版のページのアンケートでこのカードを見て来た方がいたので多少なりの効果はあったことが分かりました。
(手元に残っていたので画像表裏です)
今ならQRコード等を使う手もありますね。
ある時、ゲームショップで体験版、といいつつPC用のCD-ROMが配られていて、なんだろう、と思ったら「逆転裁判(GBA)」の体験版CD-ROMでした。
(先にWEB版の体験版(FLASH)がある事を知らなかったのですが、多分それが遊べるCD-ROMだったのだと思います)
体験版、といえば普通、その製品と同じプラットフォームで作られるのが当たり前でしたから、この手があったか、と思いました。
後に、これをヒントに「もじぴったん」もWEBで体験版を作れないか、と考え、実際もじぴったんPS2 BESTの際にWEBで遊べるようにするのですが、それは逆転裁判の前例を知っていたからです。
(ご参考)逆転裁判シリーズ最新作「逆転検事2」ページ(体験版公開されてます)
(ご参考)「ことばのパズル もじぴったん」体験版ページ (対戦のおためしもあります!)
今、ある会社が店頭でやっている事を業界全体がマネして欲しいと思う事があるのですが、写真で説明出来るようにしてから紹介するつもりです。
多分お店の人なら分かるかも、ですね。
さて、まったく余談ですが、毎日.jp で作家の「宮部みゆき」さんが好きなものを紹介していたのですが、その中に「ことばのパズル もじぴったんDS」が!
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20101128ddm015070006000c.html
なんだか涙でそうになりました…
宮部みゆきさんのファンなもので(笑)。ありがとうございます。
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この記事の所要時間: 約 2分56秒 Tweet 結構昔のエピソードですが、共有したいので書きますね。 GBA版のもじぴったんが発売された数ヶ月後に、たまたま、社内の女性数名と食事をする機会がありました。 バリューセレク […]
[続きを読む]結構昔のエピソードですが、共有したいので書きますね。
GBA版のもじぴったんが発売された数ヶ月後に、たまたま、社内の女性数名と食事をする機会がありました。
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話題が(僕がいたこともあって)もじぴったんの話題になりました。
その場にいた女性全員がGBA版のもじぴったんを持っていて、早速こうして欲しい、ここが不満、みたいな話になるわけです(まぁ、僕が開発者で特に当時はディレクター&プロデューサーでしたからありがちですね)。
全員一番不満を持っていたのが「沢山ある文字の下のほうを選ぶのが時間がかかる、面倒」という事でした。
正直僕は「あれ?」と思ったのです。
GBAの場合、L,Rボタンを押すといわゆる文字の「早送り(ページ送り)」が出来るようにしていました。
取扱説明書にももちろんその事は書いてあります。
だけど、その場にいた全員はその仕様を知りませんでした。
で、僕が教えて「こうするんですよ」と言ったら、全員驚いていました。
みんな、発売から時間がたって結構もじぴったんをやりこんだ後だったのにも関わらず。
他にも皆が口を揃えてクリアできない、といっていたタイム制限のきついステージは、実はその早送りを活用しないとクリアが難しいステージでした。
そのメンバーに聞いてみたら、全員、取扱説明書は一度も読んでいなかった事がわかりました。
その時は3人でしたので、後日、もじぴったんをやっている人を社内や社外で見つけたら、説明書を読んだか、という話を聞くようにしました。
結果、殆どの人が一度も読んでいませんでした。そして同様に製品では既に解決してあるはずの問題に皆不満を持っていました。
後に、PSP版では、チュートリアルプレイにその早送り操作が分かる仕様を別途入れました。
お客様は「購入したらすぐにでも遊びたい」という気持ちを持っており、多くの人は説明書を読まずにゲームを始める事が分かりました。
他のゲームでも読まない、という人が大半でした。多かったのは分からなくなったら、読む、というパターン。
特にもじぴったんのようなシンプルなゲームは、見なくても分かる、と思いこまれてしまう事が後に分かりました。
よって、不満に感じるであろう事を製品では実装して解決していて、説明書に書いてあるにも関わらず、お客様は分からないまま不満を残してしまう事があるのです。
作る側から言うと、手間的問題、コスト的問題、色々あって何かの問題がある事を解決する仕様や操作を「取扱説明書に書いてあるから大丈夫」としがちなのですが、それでは効果がないばかりか、せっかく知っていれば不満を感じない事を「できが悪い」とお客様は思い込んでしまいます。
お客様は説明書は読まない、という前提のモノ作りが僕は(実はゲームに限らず)必要だと思っています。
(ちなみに、単純にオンラインマニュアルにしても、見ないのは変わらないですよ。むしろ読みにくいので、見ない可能性があがるかもしれません(仮説))
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[続きを読む]昨日に出したお題「TV番組の仮面ライダー(シリーズ)は誰のどんなニーズ(必要性)に応えたのか」の僕なりの解答編です。
仮面ライダーという番組そのものだけを見たら、小さい子供か、ヒーローものが好きな大人が好きだから見る、と考えるでしょう。
これを「お客様の生活」という視点で考えてみたいと思います。
ちょっとリアルな生活を想像してみましょう。
仮面ライダーを見ている主な層は誰か、というと3歳位から幼稚園の年中さん位までの男児が中心。
仮面ライダーは日曜日の朝早い時間(7:30〜8:00)に放映されている。7:00〜7:30は戦隊モノで、あわせて「スーパーヒーロータイム」と呼ばれている。
土曜日の夜、子供はいつもの時間に寝る。親は明日が休みだと少し夜更かししたくなる。
しかし日曜日の朝、子供はいつもの時間(7:00頃)に起きる。規則正しく。
親はというと、まだ眠い。前の日遅く寝てるし…平日なら仕方ないけど日曜日の朝位ゆっくりさせてくれ…と思う。
そして親はテレビをつけ、チャンネルを某局にあわせる。そしてスーパーヒーロータイム(7:00〜)が始まる。
子供はテレビに釘付けになる。
親はまたベッドに戻ってもいいし、ゆっくりしてもよくなる。
7:30頃にはむっくり起き上がってきてゆっくり朝食の準備とか。新聞読んだりすればいい。子供には邪魔をされない。
お母さんはイケメン使ってる仮面ライダーは子供と一緒に見てもいいかもしれない。普段ならバタバタ朝の準備をしなければいけないけれども。
つまり、「幼稚園位の男児を持つ親」の「日曜日の朝位はゆっくりしたい」、というニーズ(必要性)にあの番組は主に応えていると考えられるわけです。
正直、このことは、リアルに自分が2人の男児を抱えてから理解しました。
スーパーヒーロータイムのなんとありがたいことか(笑)。
テレビをつけるだけ。で、あと30分は眠れ、30分はゆっくり出来る。
TV番組は無料で、素晴らしく助かるのです。代わりに後で子供連れでオモチャやさんに行くのはちょっと面倒な気持ちにはなるのですが。
こういう構図があるから、日曜日のあの時間帯に流されている事が実は肝なのです。
もしあれが日曜日の昼に流れている番組だったら、まったく見せないで済みます。 日曜日の昼は多分ショッピングモールなどにでかけて買い物していたりしますからね。
後、日曜日の朝はNHK教育が大人向け番組をやってるのがでかいです。そうじゃなければNHK教育を親は選びそうな気がしますね。
なるほど、と思いましたか?なんだか騙されたような気分ですか?
でも、もしそうなら、ゲーム(商品)を研究する視点、でなくて「お客様の生活」を研究するという視点が足りなかったのかもしれません。
ゲームならどうかを考えてみませんか?どんな人が、どんな場所で、どんな時間に、誰と一緒に、遊んでいるのか、遊ばないけど、関係している人が周りにいないか、と。
本当に研究していくと、商品作りのヒントになる新しい発見が絶対にありますよ。
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[続きを読む]ゲーム開発者は、無意識に「お客様」=「プレイヤー」=「ユーザー」=「購入者」と考えがちです。
以前のエントリーでも言った通り、そうなるケースもありますが、基本的にはそれらは違うものです。
過去エントリー:追求すべきは誰の満足?プレイヤー、ユーザー、それとも?
そしてもう一つ、ゲームの開発者は「ゲーム」を研究する事で満足しがちです。
確かに、他社が作ったゲーム、売れているゲーム、そういうモノを研究する事は大事かもしれません。
それらの良い所をうまく盗むという事で、商品を改良していく事は出来るでしょう。
しかし、僕はそれ以上にお客様、あえて言えば「お客様の生活」を研究する必要があると考えます。
- ゲームを遊ぶのはどんな時なのか、遊ばないのはどんな時なのか。
- どんな姿勢で遊んでいるのか。( 寝転がって?ソファに座って?立って?両手で?片手で?歩きながら? )
- どんな場所で遊んでいるのか。(自分の部屋?リビングで?電車の中で?待合室で? )
- ゲームが嫌い、と思っている人はどんな生活をしていて、どんな理由で嫌いなのか。
- ゲームの話題をするのはどんな時か。どんな話題か。
- 生活する上で、困っている事はないか。それをゲームで解決できないか。
残念ながら、今の世の中に出ているゲームの殆どは、お客様の生活に着目して作られたのではなく「ゲームを見て」作られたゲームだと僕は思います。
お客様の生活に着目しなければ、本当の意味でお客様が何を必要としているかを見失います。
それにより、客離れ、新しい顧客を得られない、という事に繋がります。
お客様の生活、という視点を持ってもらうために、少し皆様にも考えてもらいたい事例があります。
質問:TV番組の「仮面ライダー(シリーズ)」は誰のどんなニーズ(必要性)に応えているでしょうか。
明日、この事例についての中村の考えをブログのエントリーにしようと思います。
お楽しみに。
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この記事の所要時間: 約 2分56秒 Tweet 前回のエントリーで、アーケードゲーム(ゲームセンター等に置かれるゲーム機)開発の良さについて、お客様が自分達の商品で遊ぶところを企画開発する人が直接見ることができる事を挙 […]
[続きを読む]前回のエントリーで、アーケードゲーム(ゲームセンター等に置かれるゲーム機)開発の良さについて、お客様が自分達の商品で遊ぶところを企画開発する人が直接見ることができる事を挙げました。
過去エントリー:アーケードゲーム開発の良さ(1)
それによって、商品を生み出す人のモチベーションが高くなる事が一つの良さだと思います。
もう一つ、今こそアーケードゲームの開発の文化の良さを見直すべきと考える理由があります。
それについて少し説明しましょう。
アーケードゲームがヒットする条件の基本は下記のような事です。
- 見ているだけで、最初に100円をお客様が入れたくなる事。
- 一度遊んだら、また100円をお客様が入れたくなる事。
- 日を変えてもまた繰り返し遊びたい、と思わせる事。
100円で1ゲーム、というコインオペレーションの場合、おおよそ目安があって、100円1プレイ、およそ3分が適当とされていました。
長く遊べたほうが満足してもらえるかもしれませんが、ゲーム機の元を取るためには3分程度でもう一度100円を入れてプレイしてもらうというスタイルです。
この事がゲームデザインに大きな影響を与えています。
「お客様は理解できないものは買わない」というエントリーを書きましたが、最初にお客様に100円を入れてもらうためには「理解」してもらわないとダメなので、複雑でない、ルールや遊び方はすぐに理解できる事が求められました。
過去エントリー:お客さまは理解できないものは買わない
何をするゲームなのか、どういうルールなのか、どう操作すればよいのかは、100円を入れる前に理解できる必要性がありました。
同時に、プレイを始めたら、1分で面白さが分かり、3分程度でゲームが終わる頃にはもう100円を入れたくなっている、という事が求められます。
しかも、遊ぶたびに新しい発見があり、またやりたい、と思わせる必要がありました。
多くの人に遊んでもらい、なおかつ何度も遊んでもらうという事が基本です。
結果的に、シンプルで分かりやすく、すぐに面白さが伝わる上に、何度も遊びたくなる奥深さ、がゲームデザインの中心となるようになっていました。
そんなのは昔の話でしょ、と思うかもしれません。
しかし、今は例えばiPhoneのアプリのゲーム等で求められている事は同じ条件ではないかと思うわけです。
シンプルで分かりやすく、すぐに面白さが伝わる上に、何度も遊びたくなる奥深さ。
無料や100円程度のゲームがあふれている状態では、この条件を満たす事は非常に大事です。
ルールや遊び方を理解するだけで何十分もかかっていては、仮にそれを覚えればものすごく面白かったとしても、多くの人はその前に遊ぶのを止めてしまいます。
無料のゲームがあふれている現状では、最初1分触った時点で「容量の無駄」と思い、パッと削除、そして二度と遊ばない、という事が普通になります。
家庭用ゲームの場合、アーケードとは遊ぶ時間が違うのだから、同じ事は要求されていない、と思うかもしれません。
確かに重みは多少違うかもしれませんが、僕自身は「もじぴったん」の経験からも、シンプルで奥深い、すぐに楽しさが伝わる事がヒットの要因の一つになると思っています。(詳しい話はいつか別のエントリーでするつもりです)
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この記事の所要時間: 約 2分5秒 Tweet 前のエントリーで商品を企画開発する人が上流、と呼ばれていてお客様から遠い存在になっている、という話をしました。 過去エントリー:ゲーム開発が「上流」と嫌みを込めて言われる訳 […]
[続きを読む]前のエントリーで商品を企画開発する人が上流、と呼ばれていてお客様から遠い存在になっている、という話をしました。
過去エントリー:ゲーム開発が「上流」と嫌みを込めて言われる訳
僕のナムコに入ってから後のしばらくのお仕事はアーケードゲーム(主にゲームセンター等に置かれるゲーム機)の開発の仕事でした。
その後、もじぴったんの家庭用版(PS2,GBA)の開発をきっかけに初めて家庭用ゲーム機の開発に取り組んだわけです。
その経験から感じた事は、家庭用ゲーム機向けのゲーム開発に比べて、アーケードゲームの開発のほうがよりお客様の観察をしやすかった、お客様の事を知りやすかったという事です。
ゲームセンターに行けば、実際に直接お客様が遊ぶところ(遊ばないところも!)を見ることが出来ます。
足で稼いで、色んなお店を色んな時間に見て回れば、製品の問題も、お客様が何に喜んでいるのか、それはどんなお客様なのか、という事も分かります。行動をよく見ていれば、理由もなんとなく想像できます。
製品も発売前に実際にお店に設置してテスト(ロケテスト)されてから実稼働させるのが普通です。
ロケテストの結果で製品の改良ポイントをつかんで改良しますが、実際、これによって製品の大きな問題が解決される事も少なくありません。
対して家庭用ゲーム機の場合は、お客様のゲームソフトの使用実態、遊んでいる所を直接見ることはかなり難しいです。
家庭用ゲーム機向けの仕事しかしたことがなければ、自分が開発した商品が実際にお客様に遊ばれている所を一度も見たことがない開発者のほうが実の所多いのではないかと思います。
僕は、このお客様が遊んでいる所を見られるという良さは、単純に自分たちが開発した商品の改善改良のため、というだけではないと考えています。
開発者のモチベーションは、お客様が喜んでくれている所を実際に見る事で生まれてくるものです。
それはお金に換えがたい喜びだし、その事が次の商品をもっといいものにしよう、という意欲を生むんです。
仮にお客様が狙い通りに喜ばなかったとしても、それは悔しさとなって次に繋がるでしょう。
だからアーケードがいい、といいたい訳ではありません。
家庭用ゲーム機(やそれ以外)の開発では難しいとしても、僕は商品企画者、開発者がお客様が実際に商品を使っている、遊んでいる所を見る機会を作るべきなんだと思います。
難しいなら、それこそ知恵の絞りどころだと思いますね。
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この記事の所要時間: 約 1分34秒 Tweet プロデューサーになってから、小売店の方と直接お話ができるチャンスが何度かありました。僕としては知らない事だらけでしたから、話は本当に新鮮でした。 その最初の頃に、あるゲー […]
[続きを読む]プロデューサーになってから、小売店の方と直接お話ができるチャンスが何度かありました。僕としては知らない事だらけでしたから、話は本当に新鮮でした。
その最初の頃に、あるゲーム専門店を経営している方に僕が言われたのはこんなことでした。
「現場(小売店)では、ある種嫌みを込めて開発の方を『上流』というんです」
何故「上流」なのでしょうか。
川の上流から濁った水を流されたら、下流も確実に濁ってしまうように、上流の開発が売れないゲームを作って流通に流されても、下流の小売店ではどうしようもない、という意味なのだそうです。
売れないものは、残念だけどお店でどんなに努力しても売れていかない。お店としては同じ努力をするなら売れる商品がより売れるように目立たせたり、ディスプレイを作ったり、PVを流したりして仕掛けたほうが断然お店の売り上げ利益はあがる訳です。
そして、売れないものばかりを流されたら、小売店は無策、苦しくなるだけです。
そして、もう一つ、嫌みを込めて上流、という理由は、上流である「開発」が一番お客様から遠い、という事なのです。
開発者はゲームのことは自分達が一番よく知っている、と思っているかもしれませんが、直接お客様に接して、お客様の買う、買わないを直接そばで見ているお店からすればお客様の事を知らなすぎるように「上流」にいる開発者の事が見えているのだと思います。
その後も、小売店の方と直接お話ができるチャンスが何度かありましたが、その度に重要な示唆を頂きました。
言われた事を確かめるために店頭観察を続けて、知らなかった事実を沢山発見して自分達がいかにお客様から遠い所にいるかと言う事を思い知らされました。
ゲームを企画開発する僕らが、実のところ一番お客様の事を知っているのが本来の姿だと思います。
そこに大きなギャップがあると僕は考えています。
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この記事の所要時間: 約 2分23秒 Tweet DSで脳トレが爆発的に売れてからDSのソフトのパッケージは脳トレと同じように帯がつくデザインばかりになりました。 東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 […]
[続きを読む]DSで脳トレが爆発的に売れてからDSのソフトのパッケージは脳トレと同じように帯がつくデザインばかりになりました。
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ところがDSと似たような層が購入したと考えられるWiiのソフトだと帯をデザインに入れてパッケージ表で内容をアピールするものは殆どなくなりました。
多分発売後一番売れたWii Sportsのパッケージを真似たのでしょうね。もしくはPS2時代と同じ事をしたか。おかげでパッケージ表面だけで何のソフトか、何がウリなのか分からないソフトが増えてしまったように思います。
PS3やXbox360にいたっては、似たようなパッケージばかり。タイトルは横文字で意味不明。何語なのかも不明。そもそも読み方もよく分からないものも多数です。
Torneで地デジが録画できるならPS3買おうとゲーム売り場にやってきて、どんなゲームがあるんだろう、と棚を見にきた普通のサラリーマンを想像してみて下さい。
タイトルがなんと読むか、意味も分からないで7000円も8000円もするゲームを予備知識もないお客様が買うか、と言われたらそりゃ買わないのでは?と思う訳です。
パッケージソフトをもっとお客様に買って欲しいのなら、もっとタイトルやパッケージに気を使う(ついでに手間隙もかける)必要があるのです。
極めて当たり前ですが、お客様は理解出来ないものは買いません。
理解できない商品を店頭に並べておいて、売れないのは市場が悪い、というメーカーやパブリッシャーさんは如何なものか、と思うのですがどうでしょう。
お客様目線が当たり前にできるプロデューサーが足りていないのを残念ながら感じています。
そういうプロデューサーになれる人を育てるのが僕のこれからの役目の一つと思っています。
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この記事の所要時間: 約 2分16秒 Tweet パッケージのゲームソフトは、 遊んでから買う訳ではなく、買ってから遊ぶ のが基本です。 もちろん一部体験版を遊んでから購入したり、知人友人に貸してもらって遊んでから購入を […]
[続きを読む]パッケージのゲームソフトは、
遊んでから買う訳ではなく、買ってから遊ぶ
のが基本です。
もちろん一部体験版を遊んでから購入したり、知人友人に貸してもらって遊んでから購入を決める例もあるでしょうが、それは実のところ一部です(体験版がダウンロードで無料で配られている昨今でも、お客様は興味があるタイトルしかダウンロードしない)。
映画でいうと、映画はお金を払ってから見るわけで、映画を見てからお金を払うわけではないのと同じなわけです。
ゲームを作っている人は、そのゲームの中身の事を知りすぎています。どんなモードがあって、どう面白いかも知っています。
しかし、それはゲームを自分自身で体験しているからです。
何も知らないお客様にとっては、その商品を買うとどんないい事があるのか、どう楽しいのか、そしてお客様がそれを魅力的に感じるかで購入される可能性が初めて出てくるのです。
ゲームソフトのパッケージは、購入される場合は、殆どのケースでお客様が購入直前に見るものですし、購入を迷っている場合等には、それが購入の大きな決定用意になる事もあります。
またそれだけでなく、店頭で、知らなかったタイトルに触れるきっかけにもなるお客さまにとっては重要な情報源なのです。
ですから、パッケージで商品の魅力を購入前にちゃんと伝えられていなければ、当然だけどお客様に購入される可能性が大きく落ちてしいます。仮に遊んでさえもらえれば魅力的が伝わって、口コミでさらに売れる可能性があったかもしれなくても、それさえ潰してしまうことになります。
PS2版のもじぴったんでは、BEST版の発売時に(中身はまったく変えなかったのに)パッケージ、広告、価格を変えただけでまったく売れ行きが違いました。
デザインを変更したパッケージをお客さまが店頭で手に取られて購入に直接結びつくのも自分の目で見た僕は、家庭用パッケージソフトでのパッケージの重要性を再確認しました。
(発売後1年半で5万本出荷)
↓
(発売後1年半で30万本出荷)
もちろん、売上が上がった効果の要因の全てがパッケージの変更によるものではありません。
しかし、いくつかの理由から、パッケージの変更が売上を大きく左右している事を僕は理解しています。
同時に多くのソフトがゲームの中身の開発は頑張っているのに、明らかにパッケージには無頓着である事は非常に残念に感じます。売れ行きを決めるのはいかに購入前に知ってもらい魅力的に感じてもらうか、だからです。
中身をいくら作り込んでも購入して遊んでもらえなければ意味がありません。
その意味でパッケージの重要性をプロデューサーは認識をする必要があります。
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[続きを読む]ゲームのパッケージに帯をつけるというアイデアを実行に移したきっかけになった出来事がある。
10年以上前の事だが、彼女(今の妻)を連れて、ゲームショップに行った時の話だ。
ちなみに妻はゲームにはまったく興味がなく、ゲームショップに自発的に来る事もない。
当時のPS2の棚(100以上のタイトルを展示)の前で、妻に「興味あるとかやってみたいと感じるゲームある?」と聞いてみた。
妻はうーん、と悩んだ後、「ボクは小さい」というタイトルを選んだ。しかも、だいぶ消極的に。
棚の下の方にあって売れていそうな感じではなかったし、僕自身も一応知ってる、位のタイトルだった。
妻にどうしてこれを選んだの?と聞いてみたら、
「これ以外は、何のゲームだかさっぱり分からない。見当もつかない。」
と答えた。
改めて棚を見ると、タイトルは横文字、しかも意味がよく分からないタイトル、デザインはアニメ絵のキャラクターが勢ぞろい、的なものばかりだった。
もちろんその棚にはゲームの世界では有名なブランド、誰もが知ってるようなタイトルももちろんあった(有名すぎて白地にタイトルだけというパッケージだったけど)。
しかし唯一、このゲームだけは「小さい主人公が家の中で活躍するゲーム」とタイトルと絵で中身が理解できたから消去法的に選んだ、という事だったらしい。
僕がこの時に学んだ事は、自分は知り過ぎていて、お客様は「何も知らない」という事を前提に考えないといけないということだった。
お客様視点になる、という事の一つは「何も知らない人の立場で見たらどうか」という事である。
業界に入っていろんな事を知ってくると、実はこの「知らない人の立場になる」という事は訓練をしないと難しい。
ゲームの続編を作る時に、「前作はお客様は知っている」という前提で全部もの作りをしてしまったりするのだ。
パッケージに「前作よりXXがパワーアップ!」とかパッケージに書くけど、知らない人は何の事か分からないという事を普通にしてしまう。
自分達の作っているものがそうなっていないか、今一度見直して見てはどうだろうか。
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[続きを読む]店頭観察はやる気さえあればすぐにできる。ここで言う「店頭」は何も自分の業界の店だけに限らない。
自分が普段買い物するコンビニ、飲食店、スーパー、書店….
実の所、他の業界では当たり前なのに、自分の業界では当たり前ではなく誰もやっていないアイデアを見つける事は店頭観察における発見の中でも重要な事だ。
僕は書店が好きでよく書店に行く。
ある時、書籍の場合、小説でも実用書でも、キャッチコピーや有名人の推薦文等が書いてある「帯」がある事が常識なのに、ゲームのパッケージの表面にはタイトルロゴと絵以外は何も書いていない、という事に疑問を持った。
パッケージのゲームのほうが値段は高く、買わないと中身がわからない。比べて書籍は、立読みで中身が分かるにも関わらずだ。
その事がずっと引っ掛かっていたので、僕がプロデューサーになった時には、ゲームのパッケージにも帯をつけようと考えていた。
実際パッケージの制作の話になった際、紙の帯をつける事を検討したのだけれど、製造過程の問題でそれは無理、という事になった。
結局帯の代わりに印刷表面に白いスペースを確保して、デザインをお願いする事にした。
帯の部分には最初、ある方に推薦文を書いていただこうと思っていたのだが、諸事情により実現せず。困っていた時に、文章でなくイラストで魅力を伝えてはどうかという話になった。結果やくみつるさんに帯にゲームの推薦イラストを書いてもらう事になった。
結果PS2のパッケージはこんな感じになった。
裏話をすると、イラスト案としては、今思えばずっともじぴったんの魅力を伝える案が先にあったのだが、若気の至で、ダメだしをしてしまったのだ。やくみつるさんが試しに遊んでみたら思わず徹夜して原稿を落とす所だった、という話を聞いて感動して、そのハマリ具合を是非イラストに、とお願いした。
いや、もう恥ずかしい。
やくさん、ゴメンなさい。
その後、ウリにするキャッチコピーや、カテゴリ名をかなり長い時間をかけて練り直していたので、ベスト版発売時には以下のようなデザインになった。
やくさん、ゴメンなさい(再)。
—–
話がそれたけど、この例は書籍業界の常識をゲーム業界に持ち込んだものだ。
同じように他の業界で売上を伸ばすために普通に行われているアイデアを持ち込む事は出来ないかを考えながら店頭を観察するとよいと思う。
普段の買い物の時に意識すればいいだけの話ですしね。
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[続きを読む]お客様を知る、ということはプロデューサーであるかないかに関わらず、商品に関わる人には重要である。
しかしながら、実際に調査をかけて実態を知ろうとすると色々とお金も手間もかかるという事は確かにある。
店頭観察は、その意味で、時間さえ作れば誰でも今すぐ始められる。お店ではお客様の行動、店頭の実態、品揃え、店舗の工夫、その他色々な情報を「無料」で見る事ができる。
ただ漫然と見ていても発見は少ないだろうが、店頭での事実を見て、それが「何故」なのかを繰り返して考えて仮説を発見していくという目的意識を持っていれば、いくつもひっかかる事が出てくるはずだ。
それらの「ひっかかる事」がはっきり何故なのかがその場で分からない事も多々あるが、何度も繰り返して同じ店を観察したり、他店舗と比較してみることで、新たな気づきと、それが何故なのかの仮説は得られるはずだ。
店頭観察が大事だ、という事を教わったのは、何もマーケティングを教わってからという訳ではない。
僕がナムコに入社した時から、先輩から「とにかくゲームセンターに行け」という事を口酸っぱくいわれ続けていた。(今はどうなっているか知らないけれど)ナムコでは新人は入社したら開発で採用されても職場に配属されるゲームセンターで店員として2ヶ月ほど研修して「現場」を知る事を大事にしていた。
中途社員で入社して、ゲームセンターでの研修を受けないままの当時プログラマだった僕は、お店はそれなりに見に行っていたが他社のゲームがどんな技術を使っているかとか、どんなゲーム性のゲームなのか、というような作る側の視点でしか見ていなかった。
しかし、何度も足を運ぶうちに、意外な事に気づいたりした。
例えば、カップルで来た女性が体感ゲーム機を遊ぶ時に、持っているカバンを置く場所に困っている様子。地面には置きたくないけど、筐体の上には置きにくい。
4人通信対戦のレースゲームで、お財布から小銭を出すのに手間取ってしまい、4人みんなでレースするつもりが1人取り残されて、一人プレイになってしまいがっかりしている様子。
ゲームセンターはお客様が実際に遊んでいる「現場」なので、その気になれば商品開発、サービス向上にすぐに役立つ仮説は様々手に入るはずだ。
もし、商品企画をする立場の人間で、現場に足を運ぶ習慣を身につけていないなら、今すぐ店頭観察を始めるのがいい。
何度も店頭を訪れる事で、ヒット商品を作るのに役立つ生の情報を得られるはずだ。
できれば経営者にも数字ばかりの「シジョウ」だけでなく「いちば」=「現場」に足を運ぶ習慣をつけて欲しいのだけれども。
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[続きを読む]今はゲームの世界でも売上データはPOSで管理されるのが普通になっていて、確かに、「何が売れたのか」という事実だけは数字のデータで席に座っていても分かる時代である。
しかしながら、下記については売上のデータを見ても分からない。
- 購入者が買った理由。
- 非購入者がどれだけいたか。
- 非購入者の買わなかった理由。
- 購入後の使用動向。
- どれだけ使われたのか。
- どこが満足か、不満か。
つまり、POSのデータからはむしろ分からない事が多いといえるのである。
上記の中で、特に「非購入者の買わなかった理由」は売上を伸ばす、新規客をつかんで新しい商品を開発する事を考えると非常に重要である。
しかし、これは数字に表れない情報で、生の情報からでなければ得られない。
売上のデータばかり見て、モノを作ると典型的には下記のようなことになる。
XXの地域の市場が伸びています。
↓
XXの地域の市場で売れているのは○○○というジャンルです。
売れているものはXXX万本も売れています。
↓
ですから、XX地域向けに○○○というジャンルのゲームを作りましょう。
調査の結果どうやらプレイヤーの好みはXXXXXな風貌の主人公らしいです。
↓
XXXXXXな風貌の主人公の○○○ジャンルゲームをXX地域向けに発売決定(2年後に)
現実によくある話であるが、そうやって出来た商品は同ジャンルの後発商品で、伸びているという事実を知ってからさらに開発に数年をかけて発売したりするので、すっかりタイミングを逃して、よくある商品の中に埋もれてまったく売れない、ということになりがちである。
もちろん、以前にお話した通り、後発でも戦わずして勝つ「戦略」があればこの限りではないのだけれど、現場を知らないでモノを作ると結局むしろ知らないでやったほうがいい結果が出たのでは、と思う事もしばしばである。
現場の重要性を知った僕は、店頭観察にはまって、それに飽きたらず、ある方に頼んで、3ヶ月間ほどゲームショップの店員としてプロデューサーになった後に働かせてもらった。
「現場」での経験が今の自分を支えていると思う。
その経験から得られた知恵は、このブログで少しづつ伝えていくつもりだ。
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[続きを読む]皆さんは「マーケット」と言われるとどういうものを想像しますか?
「マーケット(market)」は日本語では「市場」ですが、この「市場」という漢字には読み方が二つあります。
一つは「しじょう」。
「市場=しじょう」と聞いてどんなイメージがわくでしょうか。
数字の羅列、グラフ…
そしてもう一つの読み方は「いちば」。
今度は「市場=いちば」と聞いてどんなイメージがわくでしょうか。
並べられた商品、値札、品定めするお客、声を張り上げる店員…
「マーケット」と言われて多くの人が描くイメージは「しじょう」のイメージだと思います。パワーポイントやエクセルで書かれたような、主に数字の情報です。
確かに事実を検証する上でこういったデータは欠かせないし、それらの分析から得られる仮説もあります。
しかしながら、「いちば」と聞いてイメージするような「現場」の情報がなければ読み違えをする可能性が高くなります。
僕は後者の「いちば」的、現場の情報を重視しています。
事実をベースに仮説を立てて、何故?どうして?を繰り返していくという事です。
「生の現場」の情報は沢山触れれば触れるほど、何かを語りかけてきます。
数字だけで売れるものが作れるほど、この業界は甘くないと思うがどうでしょうか。
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[続きを読む]僕が本格的に業務でマーケティングに取り組み始めたのは、PS2版, GBA版のもじぴったんの発売後。
ちょうどその頃にプロデューサーの能力を高めるためにナムコ社内でマーケティングの研修が始まったのだった。
最初は期待半分、疑い半分。面白いゲームがマーケティングなんぞで生まれるのか、と思っていた。
しかし、元々真面目な性格なもので、真面目に取り組んでみた。元々学んでいたのが日用品のマーケティングの手法だったので、ゲームの場合は同じ事が言えるのかも取り組みながら試行錯誤をしてみた。
結局僕がたどり着いた結論は、ゲームでも日用品でも、「お客様の事をよく知り、喜んでもらう。喜んで商品を購入して頂いて、喜んで使ってもらう」という点において共通で、何ら変わりが無く、商売の原則は変わらない。だから、マーケティングをよく理解する事は大切だということだった。
それでも違和感を感じる人はきっと多いだろう。
それは一つには「マーケティング」という言葉自体が、まず人によってまったく違うイメージを持たれている上に、正しく理解されていないからだとも思う。
あなたがどこかの会社の方と名刺交換して「マーケティング部」という所属だったとする。
その会社や業界によっては「マーケティング」は、
- 「販売、営業」
- 「プロモーション」
- 「市場調査」
- 「トータルな商品企画」
と、全然違う意味でとらえられている(多分、ゲームの世界では上二つが多い)。
そんな状態だから皆が異なるイメージを持っていてもしょうがないと思う。
僕自身は、マーケティング=「商売学」だと思っていて、商売における原則を知るための実学と思っている。
扱うものが違うだけで、変わらないものは変わらないのではないかと。
お客様が求めないものは売れないのは変わらない。
結局、人間が商品を作り出し、売り、人間が買って使う、という構図はどんな商品でも一緒ですからね。
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[続きを読む]ゲームの開発者は、いかに面白いゲームを作るかが目的と思ってしまう。面白ければ面白いほど、お客様は満足し、売れる、という思い込みからだ。
いくつかのエントリーで、商品として「お客様の生活」の事を考えた場合、それだけでは売れない商品になってしまう可能性について述べた。
エントリー:追求すべきは誰の満足?プレイヤー、ユーザー、それとも?
実は、場合によっては「ほどよく面白いけど、面白すぎない」事がお客様のベネフィットに繋がる、お客様の生活にあうというケースも少なくなくある。
首都圏に住んでいる人なら、電車の中などで携帯電話のゲームを遊んでいる人はよく見かけるだろう。それなりに携帯アプリが認知されて皆がゲームを始めた頃、かなりの確率で「テトリス」を遊んでいる人を見かけた。
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でも、テトリスをダウンロードしたサイトには他にも面白いゲームはあったはずである。
お客様の立場で見てみよう。
テトリスはシンプルで遊びやすい。ルールも知っている。当然トライアル(最初のプレイ)もする。プレイする。ちょっと操作しにくいかもしれないが、テトリスの楽しさは味わえる。
通勤の電車の中でプレイする。立っている時は片手はつり革だったりカバンだったりする。片手でプレイできる。
そうこうして遊んでいるうちに会社の最寄り駅に到着。あるいはすぐに返信しなければいけないメールの着信があった。
さて、もし遊んでいるゲームがものすごく面白くて、例えばクリア間際(ex.もう少しでボスを倒せる)だった時、パッと気持ちよく止められるだろうか?
多分、多くの人は(クリアという概念のなく、ほどよい面白さの)テトリスだったら止められるのである。
特に携帯電話(携帯ゲーム機)の場合、この「パッと止められる」というのは大きなベネフィット(お客様にとってのメリット)である。
単に中断できればいいという問題でもない。
「気持ちよく」止められるか、止めても不満が残らないかが大事だったりするわけだ。
ゲームを面白くすれば売れる、は実はゲーム制作者の思い込みではないか。
本当にお客様のため、お客様の生活にどう役立つかを考えたら、違う答えが見えてくるかもしれない。
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