
この記事の所要時間: 約 1分50秒 Tweet 不思議な事に、このゲーム業界においては、失敗事例には事欠かないはずなのに、同じ失敗がずっと繰り返されているように思います。 業界内、でもそうですが、同じ社内でも、あちらの […]
[続きを読む]不思議な事に、このゲーム業界においては、失敗事例には事欠かないはずなのに、同じ失敗がずっと繰り返されているように思います。
業界内、でもそうですが、同じ社内でも、あちらのプロジェクトでやった失敗と同じ事が他のプロジェクトでも起こってしまう(原因は一緒)、という事は珍しくありません。
何故、そのような事が起こるのでしょうか。
失敗の事例がクローズアップされないのは、この業界だと10本のうち1本でもヒットを出せば(商売上)全体的には回ってしまう、という事も事情としてある可能性はあります。
(最近はそんな打率にはならないので、苦しんでいる所は苦しんでいますね)
それに人間は、自分が失敗したとしても、なかなかそれを認めたくない、という心理を持っているものです。
素直に失敗を認められる人はなかなかいません。
同時に、本人がそれが何故失敗したかを理解していたとしても、自分が犯した失敗については多くは語りたがらないものです。
結局の所、失敗した事とその理由は、深く分析される事もあまりなく、結果的に同じ失敗が繰り返されている、というのが今の状態かもしれません。
では、どうしたらよいのでしょうか。
あくまで持論ですが、失敗の事例は「他人様」から学ぶ事にする、のがよいのではないかと思っています。
自ら、あるいは自分の組織の失敗の原因を追及するのは、精神的にも辛い作業になり、無理な理由、言い訳を生み出しやすく、間違った答えを引き出しかねないのです。
「他山の石」という言葉があるように、客観的に見る事が出来る同業他社の事例(失敗例、そして成功例)を十分に研究する事で、何が失敗の原因だったのか、我々はどうすべきなのかを学び取る事ができるのではないかと、これまでの自分自身の経験上からも思います。
もちろん、自らの失敗から学ぶ事も重要です。
しかし、それが心理的に難しいのであれば、あえて「他山の石」に学ぶ事(事例研究)する事は悪い手段ではない、と考えています。
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この記事の所要時間: 約 1分57秒 Tweet ナムコでプロデューサー制が始まった後に現場のプロデューサー(もちろん自分も含めて)は、会社での研修等でマーケティングの勉強をかなり組織をあげてやっていました。 その時の「 […]
[続きを読む]ナムコでプロデューサー制が始まった後に現場のプロデューサー(もちろん自分も含めて)は、会社での研修等でマーケティングの勉強をかなり組織をあげてやっていました。
その時の「師匠」の一人がマーケティングコンセプトハウスの梅澤伸嘉先生です。
梅澤先生は、「カビキラー」「スキンガード」「テンプル」「(風呂釜洗いの)ジャバ」「禁煙パイポ」といった十年以上トップブランドとなったロングセラー商品の開発者で、その商品企画の手法と背景となる消費者心理の理論を今も教え続けています。
先生と出会う前から、僕自身が目指したかった商品作りが「永く愛され続ける商品」であったし、「定番商品」であった事もあって、先生の理論は本当に勉強したし、実践もして実際に成果に繋げることもできました。
過去記事:定番商品の必要性 過去記事:永く愛されるゲームを作る
特に、「新規市場開拓型商品(MIP)が、長期No.1ブランドになる確率が後発商品に比べてはるかに高い」というMIP理論をはじめとして、それを実際の商品に落とし込むまでの具体的な手法は、他にないものと思います。
梅澤先生の著書は沢山あるのですが、一番最初に読む本としてはヒット商品開発―MIPパワーの秘密 がお勧めです。
日用品等に限らず、ゲーム等の娯楽商品においてもあてはまる事で、特にベテランの企画職、プロデューサー、経営者等であれば「なるほど」と思える事があるはずです。
梅澤先生の理論は本当に奥が深くて僕自身、未だ勉強中です。
なかなかヒット商品を生み出せない、安定的に売れるブランドを作れない、と思っている人なら業種を問わず是非ご一読をお勧めします。
(在庫がある事が少ないので、買おうかどうか迷っていれば買っておくのが吉です)
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この記事の所要時間: 約 1分49秒 Tweet 辞める1年位だったか、企画の新人に企画者としての心得の研修をする機会があったわけですが、僕がその場で言ったのは「上司や先輩の言う事は必ずしも正しいとは限らないから、疑って […]
[続きを読む]辞める1年位だったか、企画の新人に企画者としての心得の研修をする機会があったわけですが、僕がその場で言ったのは「上司や先輩の言う事は必ずしも正しいとは限らないから、疑ってかかれ」ということでした。

会社組織というのは、その組織独特の文化とか、明文化はされていないけど不思議なルールのようなものがあります。
新人で入社すると、あるときは「え?」というようなルールがあったり、先輩や上司から「こうしなさい」「こうするものです」と言われた事が、不思議だったり、ちょっと納得がいかなかったりするものです。
しかし、大抵の場合、職場に配属されて1年も経つとすっかりなじんで、入社したばかりに感じていた「違和感」が薄れてなくなっていきます。2年目、3年目になると、今度はその会社のルールを後輩の新人に教える事になる訳です。
もちろん、会社の中でのルールや仕事のやり方というのには、それが出来たそれなりの理由というのがあるはずです。
しかし、新人さんの目で「おや?」と思う事は、もしかしたら大事な事なのかもしれない、という事です。
僕は、もしこれを読んでいるのがまだ入社したての新人さんであれば、会社の事で違和感を感じた事は「メモを取っておく」事をお勧めします。同時に「どうして違和感を感じるのか」についてもとっておくとよいです。
会社に入社する新人は、実は会社組織の中で一番「お客さま」「消費者」感覚に近い人なのです。
だから、感じる違和感の原因のいくつかは「消費者感覚」と「会社感覚」のずれによるものが原因である可能性があります。
残念ですが、一端組織のルールに慣れて、それが常識化してしまうと、自分の常識は簡単に疑う事ができなくなるのが人間というものです。
もし、あなたが新人でないなら、常に会社の方針や上司の言う事は本当に正しいかを疑う、自分で考えてみるクセをつけるための訓練を欠かさずにしないと、自分達がやっていることがうまくいかない原因がよくわからない、という事になってしまうでしょう。
自分の日常の仕事を客観的に見る、というのは簡単なようで、実は非常に難しい事なのです。
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この記事の所要時間: 約 2分47秒 Tweet ゲーム開発を志す人、あるいは実際にゲーム開発を行っている人が陥りやすい罠。その一つは『すごいゲーム』を作りたくなり、作らないといけない、と思い込んでしまう事です。 (典型 […]
[続きを読む]ゲーム開発を志す人、あるいは実際にゲーム開発を行っている人が陥りやすい罠。その一つは『すごいゲーム』を作りたくなり、作らないといけない、と思い込んでしまう事です。
(典型的な「すごいゲーム」の例: EA Battlefield 3 プレイ動画
自分も元プログラマで、僕がナムコに入社したかったのも、入社して最初に業務用ゲーム機の部署への配属を希望した理由の一つも、当時3Dのゲーム開発ではナムコが最先端を走っていたから、というのがあります。
ですから、僕自身も「すごいゲーム」を作りたい、という気持ちはよく分かります。
同時に会社に入ってからの周りの要求も「すごいゲーム」を作るんだ、作らないと置いていかれる、他社に負けてしまう、というプレッシャーになってきます。
同時にハードの進歩に伴い、「すごい事」が出来るようになると、「すごい事」をやらないとダメだ、という思い込みが強くなってきます。
僕自身は、PS2発売の後くらいから、「本当にすごいゲームを作るべきなのか?」という事に疑問を感じ始めました。
(このあたりの話は、米光一成さんとの対談の「その1」で話をしています。)
『見た目がすごくなくても、技術的に優れていなくても、売れて、お客さまの満足も高い、というゲームが作れるはずだ。』
その考え方は、その当時の僕のスタンスでした。「もじぴったん」というゲームをプロデュースした経験から、今も変わらず持ち続けています。
『すごいゲーム』を作らなければならない、と思い込んでいるのであれば、一度その常識を「本当にそうだろうか」と考え直してみては如何でしょうか。
この話は、以前に紹介したゲームボーイの開発者でもある故横井軍平さんの『枯れた技術の水平思考』の話とも繋がります。横井軍平さんの話は、僕らが陥りやすいけど、本当はこうあるべきでは、という商品開発に対する考え方について「はっ」とさせられる事を色々教えてくれる気がします。
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この記事の所要時間: 約 2分0秒 Tweet 社員のやる気を保ちたい。チームメンバーのクリエイティブ能力を最大限に発揮したい。 あるいは、優秀な社員から辞めていくのをなんとかしたい。 逆に、クリエイティブな仕事がしたい […]
[続きを読む]社員のやる気を保ちたい。チームメンバーのクリエイティブ能力を最大限に発揮したい。
あるいは、優秀な社員から辞めていくのをなんとかしたい。
逆に、クリエイティブな仕事がしたいのに、会社ではうまくいかず不満がある。
そんな人なら必見。20分弱の動画です。
ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 | Video on TED.com
僕自身も、「クリエイティブ」な成果を出すためには、今までの労働と報酬に関する価値観を見直す必要があると思っています。
もやもやして感じていた事をハッキリさせてくれている気がします。
TED Talks は字幕付きで見られる iPhone,iPod Touch,iPad用のアプリケーション(ユニバーサルアプリ、無料)があります。
TED+SUB: TED Talks with Subtitles – semix2
ダウンロードしてゆっくり見る事もできます。おすすめ。
実は「モチベーション(やる気)」の話はまさにゲームデザインをする上で非常に重要なんです。
この話はまたボチボチしていきます。
ダニエル・ピンクさんの書籍も紹介しておきます。
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- 考えるための道具『考具』を手に入れよう
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この記事の所要時間: 約 2分58秒 Tweet ゲームデザイナーをはじめとした企画職の人なら、アイデアを広げたり、整理して企画の形にする必要性が頻繁にあると思います。 ご紹介するこの本もかなり昔に出会った本ですが、未だ […]
[続きを読む]ゲームデザイナーをはじめとした企画職の人なら、アイデアを広げたり、整理して企画の形にする必要性が頻繁にあると思います。
ご紹介するこの本もかなり昔に出会った本ですが、未だに所有している本です。実際の所、プロジェクトのメンバー等に貸すために1冊、自分のために1冊持っていたりします。
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特に何かしらの企画アイデアを出して形にするために、この本で紹介されているような「考えるための道具=考具」があるかないかは大きな差になります。
紹介されている手法は、「カラーバス」「マンダラート」「マインドマップ」「5W1Hフォーマット」等、様々です。
僕自身も、特にディレクター、プロデューサーになってからは、この本の手法を実際に使いました。いや、使いまくりました(笑)。
一人で紙とペン(あるいはポストイット)だけで出来る手法が沢山載っています。
それぞれの手法の実際の使い方など、分かりやすく書いてあり、なおかつ読みやすいです。
アイデアが欲しい、あるいは出したアイデアをうまく企画の形にしたい、という方にはお勧めの1冊です。
そういえば先日紹介した米光一成さんの「魔眼本」にもこの「考具」が紹介されていました。
お勧めです。
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この記事の所要時間: 約 1分49秒 Tweet 以前にぷよぷよのゲームデザイナーの米光一成さんと対談した時に、米光さんに1冊頂いた本を紹介します。 自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に […]
[続きを読む]以前にぷよぷよのゲームデザイナーの米光一成さんと対談した時に、米光さんに1冊頂いた本を紹介します。
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[楽天ブックス]【送料無料】自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法
アイデアをどんどん発想できる達人、というのは、もちろん天性のものもあるとは思いますが、アイデアを出す事をずっとクセにして繰り返してきた結果、アイデアを出す事が楽しくてしょうがないという状態になっています。
では、その人達はどのようにして、そのような達人になったのでしょうか?
お仕事でも、芸の世界、柔道、剣道、茶道などの「道」の世界でも、最初は「型」(いわばマニュアル通り、真似)を繰り返す事から入って、それが身についたら、自分なりの工夫をして、そして最終的には自分なりの、自分だけのやり方を身につけるものです。
この書籍に書いてあるのは、自分にしか思いつかないアイデアをどんどん出せるようになるために、最初に真似してとにかくやってみるという「型」にあたる事です。
方法が具体的に書いてあり、そのための「道具」の紹介もきっちりしてあります。
基本的に自分一人で出来る方法ですので、本を読みながら実際にやってみる事をお勧めします。
さりげに、中で紹介してある参考書籍やツールが僕のツボにはまりまくってしまいました。
これからゲームデザイナーを目指す方だけでなく、商品企画のお仕事をしたい方、アイデアが出ない、と悩んでいる方は是非。
米光さんの書籍は他に紹介したい本があるのですが、また別の機会に。
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[続きを読む]2月5日(土)に福岡コンテンツ産業振興会議主催のデジタルコンテンツ応用セミナーで講演をさせて頂いたのですが、最後に流したYoutubeの動画、説明が足りなかった気もするので(いまさらかよ、というのは無しでw)再度ご紹介しようと思います。
(職場で見てる方、音がないと意味がわからないので、音が聞ける環境で是非)
普通のゴミ箱に楽しさを演出する「音」を追加しただけ、と思えるかもしれませんが、ゴミ箱にこういう仕掛けをする事で、皆がいつもよりゴミを拾って捨てるので、結果的に周りが綺麗になる、というのがキモな訳です。
僕はゲームデザインの「楽しさ」を生み出す技術は、もっと世の中の役に立てると思っています。これはわかりやすい例かと思い紹介しました。
このシリーズは他にもいくつか。
こっちはもっとゲームっぽい。
他にも色々ありますので、よかったら元のサイトもどうぞ。
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今までいくつかのプロジェクトに関わってきて、うまく行った(単に売上げがあがったとかだけではなく)プロジェクトとそうでないプロジェクトの違いとなっている一つの要因は、プロジェクトに関わる人がそのプロジェクトの「目的」をしっかり共有しているか、という所が一つの違いになっていると感じています。
あえて、「目標」とは言っていないのは、往々にしてプロジェクト半ばで状況や環境が変わって「目標」は修正をするべき必要が出てくる事が多いからです。
商品開発プロジェクトでの目的は、実は商品を完成させる事ではありません。
(多くの商品開発プロジェクトは、ここで間違いを犯しています)
商品開発プロジェクトで目的にすべきは、商品そのものではなく、その商品開発の目的である、どんなお客様に、どんないい事をもたらすかという事です。そしてそれがしっかりと目的として共有されている必要があると考えています。
でないと、商品の開発が色んな理由、例えば技術的、人員的、その他で暗礁に乗り上げてしまった時に、皆で打開策を打ち出す事が難しくなってしまうのです。
目的が「お客様にどんないい事をもたらすか」という形で認識が出来ていれば、場合によっては商品開発の方向性を変えてもいい、やり直してもかまわない、あるいは、目的から考えれば、当初考えていたのとは違うアイデアで実現をすればよい、という発想ができるようになります。
仕事で何かつまづいた時、問題にぶちあたった時は「そもそも今やろうとしている事の目的はなんだろうか」を考えてみる癖をつけるのがよいです。単に目の前で起こっている問題を対処療法的につぶそうとすると、商品開発であれば、ちぐはぐな仕様などを生み出しがちです。
そのためには「何故今これをやる必要があるのか」「そもそもの目的は何か」「プロジェクトの目的と矛盾しないか」等を常に考えて手段と目的の関係を常に頭の中で組み立てて考えておき、問題がある手段が出てきたら、目的に立ち返って違う手段で解決できないかを考えるという思考パターンを身につけておくのがよいと思います。
プロデューサーとしては、その意味でプロジェクトの大義=プロジェクトの目的、をしっかりと皆に共有してもらう事が一つの大きな仕事となります。
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この記事の所要時間: 約 2分16秒 Tweet ナムコに入社してラッキーだった事の一つは、遠山 茂樹さんと一緒に仕事が出来た事です。 遠山さんは、古くはゼビウスのデザインを担当して、ガンバレット やプロップサイクルとい […]
[続きを読む]ナムコに入社してラッキーだった事の一つは、遠山 茂樹さんと一緒に仕事が出来た事です。
遠山さんは、古くはゼビウスのデザインを担当して、ガンバレット やプロップサイクルという名作のアーケードゲームのゲームデザイナー。遠山さんを一言で言うと「マッドサイエンティスト(笑)」。僕はMr.ナムコ、と思う位、ナムコっぽい人で、とにかく、面白いアイデアを次々に生み出すすごい人なのです。
最近は「遠山式立体表示法」という従来にない「実在感」のある3Dの表示手法を開発していて、ゲームに留まらない、本物のクリエイターの一人だと僕は思っています。
PSPの「ポータブルアイランド 手のひらのリゾート」というタイトルで遠山さんと一緒に仕事を出来たことは僕にとっては非常によい経験となりました。
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遠山さんのアイデアを生み出す考え方には本当に学ぶべきところがあったのですが、中でも
「答えは必ず思いついていない中にある」
という遠山さんの中にある根本的な考え方は、クリエイティブが求められる仕事では基本とすべき考え方だと感じています。
何かしら問題にぶつかったとき、論理的に考えていっても行き止まりでそれ以上進まないときがあります。
遠山さんのように本当にクリエイティブ人は、そんな場面でも「答えは必ずある。出来ないのではなくて、解決策を思いついていないだけだ。」と考えるのです。
クリエイティブでない人は難題にぶつかると「それは無理」と先にあきらめてしまう(すぐに結論を出してしまう)のです。そして「出来ない理由」を探してしまいがちです。
しかし、クリエイティブな人は、どんな問題にも解決策がある、まだ思いついていないだけだと考え、それを思いつく方向へパワーを注ぐのです。
これは創造的で、今までにないモノを生み出す人の考え方の基本で、ゲーム開発という分野に関わらず、仕事をしていく上でとても役立つ考え方だと僕は思っています。
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![週刊ファミ通 増刊号 2011年 3/17号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61IgfbjAe9L._SL160_.jpg)
この記事の所要時間: 約 2分3秒 Tweet 正確にいつ頃からかは覚えていないのですが、僕がプロデューサーとして働くようになってからは、はっきり意識してゲームをプレイしないようにしていました。 会社にはゲームが溢れてい […]
[続きを読む]正確にいつ頃からかは覚えていないのですが、僕がプロデューサーとして働くようになってからは、はっきり意識してゲームをプレイしないようにしていました。
会社にはゲームが溢れていますから、遊ぼうと思えば会社でいくらでも遊べる訳です。
にもかかわらず、僕は会社でもあえて殆どのゲームをプレイする事はありませんでした。
同時にいわゆるゲーム専門誌も読まない事にしました。会社ではあちこちにあって読もうと思えば自由に読めるのにも関わらず、です。
ゲーム業界で働いている人なら、その行動には少し疑問を感じるかもしれません。
業界のトレンドや、他社がどんな技術を使ってどんな製品をだしているかは知っておくべき、というのが常識だからです。
しかし、僕自身はそういう環境だからこそ、あえてゲームを知らない人の立場を理解するために努力をする必要があると考えたのです。
同時にその行動が、実際に問題になる事は少ないと思いました。何故なら、周りで一緒に開発しているメンバーは、殆ど皆ゲームの事について詳しいからです。
あえて情報が溢れる中で、知らない人の立場をなるべく理解する事が、もじぴったんチームのリーダーとしての僕の役割だと思いました。
そうする事で、見えてくるものがあるわけです。
例えば、ゲームの事を知っていれば、人気のあった続編で宣伝を見ればなんだか理解できるのだけど、知らない人から見ると同じ宣伝を見てもそもそも何のゲームでどう面白いのかすら分からないということ。
そもそも、あるブランドのゲームが評価が高いとか高くないとか分かっていない事。何がいいのか知らない事。
大手のゲーム会社の開発の現場にいつつ、ゲームの情報を仕入れないようにするにはかなり努力が必要でしたが、結果的にはゲームを遊ばないようにする努力は正解だったと思っています。
もじぴったんが、ゲームを初めて遊ぶ人でもちゃんと遊べて、購入前になんとなくでもどんなゲームでどうよいのか理解できるようになっているのも、一つはその努力のおかげです。
業界の人全てに僕のマネをして欲しい、とは思いません。
ただ、皆がゲームの事について詳しいならば、ゲームを知らない事を生かしてチームに関わる役割の人が必要だと思います。
特に、今までゲームを遊んだことがない人に遊んで欲しい、喜んで欲しいと思うのなら、そのような役割の人は必要です。
ゲームを遊ばない事で見えてきた事、について明日もエントリーを書こうと思います。
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この記事の所要時間: 約 1分42秒 Tweet 今発売されているゲームを見ていると、多くのケースで「売れる」事を狙いに行って、結果的にパッとしない事になってしまっているように思います。 もちろん、入念な戦略があって売れ […]
[続きを読む]今発売されているゲームを見ていると、多くのケースで「売れる」事を狙いに行って、結果的にパッとしない事になってしまっているように思います。
もちろん、入念な戦略があって売れているものもあります。
「売れる」事を狙いに行くと、皆がよくやりがちな事は「売れているもの」のマネをする事です。しかし本質を理解しないと、単なる後追い商品になってしまいます。
でも、「売れる」事を目標にする事ではなく、あえて身近にある問題で、今ある手段では解決できない事をなんとかする方法を発明する、というのが実はヒット商品の近道かもしれません。
Dr.中松が発明したものの中に「灯油ポンプ」(Dr.中松は醤油用に発明した)がありますが、母親が漏斗で醤油を瓶に移し替えるのに苦労しているのをなんとか解決しようとして発明したものだそうです(当初の商品名は「醤油チュルチュル」)。
実用品だけではありません。
ポピュラーでロングセラーなテーブルゲーム「オセロ」。
発明した長谷川五郎さんは、中学生であった当時、終戦間もない焼け野原で「休み時間10分以内に決着のつくゲームはないか?」と囲碁を元に自分達のためにオセロを考案したそうです。
僕は身近な、生活の中の問題がこんなゲームがあれば、あるいはこんなゲームの技術で解決できないか、と常に考えています。
実は今売れているもの、は殆ど気にしていません。
それが「売れるモノ」を作る近道だと思っているからです。
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この記事の所要時間: 約 1分44秒 Tweet 「アイデア」に関して書かれた本は沢山ありますが、これから紹介する本は、その中でも長く愛された書籍だと思われます。 「アイデアの作り方」ジェームス・W・ヤング(初版 198 […]
[続きを読む]「アイデア」に関して書かれた本は沢山ありますが、これから紹介する本は、その中でも長く愛された書籍だと思われます。
「アイデアの作り方」ジェームス・W・ヤング(初版 1988年 )
阪急コミュニケーションズ
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手に取ると分かりますが、この本は小さめで薄く、文字も大きめで書いてあり時間かからず読めてしまいます。
しかしながら、「アイデア」に対する基本的な考え方と、それを産み出す具体的なステップがシンプルに分かりやすく簡潔に書いてあります。
帯には「60分で読めるけれど一生あなたを離さない本」と書かれてありますが、まさにそう思います。
この本の中でヤングは「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」と書いています。
「アイデア」、というと何か無からまったく新しい事を思いつかなければいけないように思いますが、実は今までにある要素の新しい組み合わせ、なのです。
この「アイデア」についての定義、考え方はこれから僕のブログでアイデアや発想法について伝えていく際のベースとなる考えになります。
今まで何度も述べてきましたが、エンタテイメントの分野で特にその企画に関わる人には「アイデア」を産み出す事が求められます。
「アイデアを産み出す」ための原理と方法について書かれたこの書籍は、もし読んだことがなければ一度読んでおくべきかと思います。
お勧めです。
書籍や参考になるもの(サイトの情報他)については、今後も厳選をしてご紹介してきたいと思います。
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